恥ずかしがり屋の女子高生が、おっぱいとかを露わにしながら地球のために戦う!? おバカマンガ界の話題の新星とは?

マンガ

公開日:2013/11/26

 タイトルにラーメンの文字が踊っているのに毎回毎回ラーメンを無視してエロギャグを怒濤のごとく展開する『絶品! らーめん娘』(友木一良/講談社)。なんにでも“変態”できる能力を手に入れた男子中学生がシャーペンからレオタードまで次々に“変態”し、クラスの女の子にイタズラをかますという頭が痛くなるようなテーマの『ニボシ君の変態』(ミッチェル田中/秋田書店)。ありとあらゆるスケベなハプニングを引き寄せてしまう主人公は「聖器」の持ち主で、股間から解き放たれる「銃聖器ゼツリンバスター」で人間に害を及ぼすアクマと戦う、といった、どうすんだよこれという感想しか浮かんでこないようなマンガ『ぜつりん!』(友吉/小学館)など。今、こういった、いわゆる“おバカマンガ”が人気だ。

 そんな“おバカマンガ”の世界に、キラリと光る超新星のような存在が現れた。その名は『はじぷる!』(たくじ/秋田書店)

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 注目されてしまうことが泡が吹くほど苦手な、超がつくほどの恥ずかしがり屋の女子高生さつきの前に、ある日突然、異世界からやってきたという妖精マルピーが現れる。彼が言うには、さつきの住む世界は魔王とその軍団に狙われており、のっぴきならない危機に直面してるんだとか。魔王とその軍団から世界を守るには、“勇者”という存在が必要らしく、その勇者に見事さつきが選ばれたということらしい。まあいきなり目の前に妖精が現れ、そんなこと言われた日には、さつきが「きっと私の頭 変な電波でも受信っ」と口走ってしまうのも無理はないだろう。しかし、そんな彼女の前に、魔物が出現したことで、否応なしに勇者として戦うことになってしまうのである。

 勇者として戦うにはある武器が必要となり、それでしか魔物は倒せない。その武器とは「勇者の剣」。マルピーによると、「使用者が恥ずかしい思いをすればするほど 力が出せるスゲー武器」だという。さあ、話がおかしくなってきたぞ。

 まあ、勇者とは「恥ずかしい思いを乗り越えることができる 真に勇気ある者」というフォローになってんだかよくわからない設定はあるのだが、それにしても、「恥ずかしい思いをする」というのは具体的にどうすれば……。マルピーは言う「おっぱいを晒せ」と。ここで、あーはいはい、そういうことねって納得できる人がどれくらい世の中にはいるのだろうか。いるなら一度見てみたい。そして、小一時間ほど説教をしたい。とにかくもう、この時点で“おバカ”っぷりのメーターがあるんなら、グングン上がりまくっていることは確実である。

 さてさて、超恥ずかしがりやのさつきが、そんな「おっぱいを晒せ」みたいな要求を素直にのむはずもなく、拒否する。当たり前だ。しかし、現に魔物はいるわけで、放っておけば罪なき人々が被害を受けてしまう。やむを得ず、さつきは制服をはだけ、その胸元を人々の前に露わにするのだが……ここで読者にとってうれしい誤算が発生する。そう、さつきは“隠れ巨乳”だったのである。顔を真っ赤にし、プルプルと体を震わせながら、豊満な胸を露わにするさつき。やばい、正直やばいシーンである。男のS気を刺激するというか、支配欲をくすぐるというか、一方で守ってあげたくなるというか……恥ずかしがる女の子というのは、なぜこうも男の琴線を刺激してくるのだろうか。たとえば、貧乳の女の子に「私、そんなに胸大きくないから……だから、あんまりジロジロ見ないで」と頬を染められて言われた日には、もう男に生まれた喜びを全身全霊で表すために男一代裸祭りを開催したいくらいのレベルである。おっと、少し話がそれてしまったようだ。

 恥ずかしさがピークに達したさつきは、とうとう勇者の剣の力を解放させ、魔物をやっつけるのだが、その技が、剣を胸に挟んだまま、相手に振り下ろす「秘剣パイスラッシュ」。頭が痛くなってきた方、もう少し我慢をしてほしい。

 その後、魔物が現れるたびに、官能小説を音読させられたり、ノーブラノーパンで校内を歩かされたり、おしっこを漏らすところを見られたり、などなどありとあらゆる恥辱行為を強いられ、そのたびに勇者の剣をふるい魔物を撃破していくのである。その展開のほとんどが、もう頭が下がるくらいにバカバカしいのだが、不思議とページをめくる手が止まらないのである。エロいからか!? 男の底知れぬエロさがそうさせるのか!? いや違う、なにか別の魅力がそうさせるのだ。この魅力を、あるマンガファンはこう述べる。

「僕の分析ではやはり、近頃は読むのに体力がいる難解なマンガが増えてきたからだと思います。そのため、気を抜いて、まったく考えなくても良いマンガを、体が自然に求めてしまうんです。そのうえでエロかったらもう最高」

 あ、やっぱり、エロいのが良いんだ……男の業の深さを垣間みたような気がする。

 エロいシーン盛りだくさんで、考えることすら禁じられるてるように思えるほどバカバカしいこの作品。もし“おバカマンガ”の世界に足を踏み入れたいのなら、入門書としては最適の1冊である。

文=オンダヒロ