「人一倍稼ぐには、人一倍働かねば」というラットレースから脱出できる、“笑っちゃうほど自由”に生きる技術とは

暮らし

公開日:2013/11/27

 ようやく景気回復の兆しが見えてきたとはいえ、いまだ業績悪化やリストラのニュースも少なくない日本経済。「どうせ先が見えないならば、自由に働きたい」と独立・起業を考える人も多いようだ。しかし、ふたを開けてみれば、多くのフリーランスが仕事やクライアントに振り回され、結局は資金繰りや時間に追われて自由を失っている。

 この状態を「働いても働いても一向に自由になれない”ラットレース”」と位置づけ、「普通の人が“笑っちゃうほど自由”に生きるために知っておくべきこと」をまとめたのが、10月に発売された書籍『笑っちゃうほど自由に生きる 20代から必ず知っておきたい4つのこと』(KADOKAWA)だ。

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 著者の平秀信さんは、20年間建設会社に勤めたのち、独立起業。2000年に工務店を立ち上げ、3年で10億円の企業に育て上げた。そののちはコンサルティング会社や通信販売事業、出版事業など多方面の事業を手掛ける経営者だ。

 事業拡大で手に入れた天国と、だまされて一文無しになるなどの地獄を経験し、現在は「好きなことだけをやり、やりたいことだけをやり、その結果として年収1億数千万円を安定的に稼いで」いる。もっといえば、Tシャツに短パンで好きな時に好きな場所で働き、十分な収入を得ているというのだ。

 そんなオイシイ話があっていいの!? とにわかには信じがたいが、著者の平さんは「凡人でもお金・時間・場所と3拍子揃った “究極の自由”の形を手に入れることができる」と断言。大切なのは、「遊ぶ時間を増やすためにはどうすればいいか?」「面倒なことは一切やらないためにはどうすればいいのか?」を考えることだという。

「遊ぶ時間を増やしたり、面倒なことをしないと決めたりすれば、仕事の量を減らすことになりますよね。仕事の量を減らしても、同じだけ稼ぐためには、自分がいなくても収益が入ってくるシステム、つまり仕組みを作る必要があるため、脳がフル回転でアイデアを探し出してくるわけです」

 お金・時間・場所を自由にできる働き方には、「仕組み」作りが欠かせない。「仕組み」とは、一度作ってしまえば、自分が働かなくても自動的に収益が入ってくるシステムのこと。つまり、ビジネスオーナーや投資家になることが、“究極の自由”を手にする近道というわけだ。

 そこで本書では、従業員・自営業者の状態から、自分がいなくても稼げる「仕組み」を作り、仕事を他人に任せていく方法を4ステップで伝授する。肝心の「できる限り小資本かつローリスクで実現できる仕組み」作りの方法を明かすのはステップ3。

 この章では、「マニュアルを作る」「最強のチームを作る」「集客を自動化する」など、さまざまな手法が紹介されている。なかでも現在、会社勤めをするビジネスマンにとって参考になりそうなのが「今の環境から“仕組み”作りを学ぶ」(P192)という手法だ。

「会社の“仕組み”とは、わかりやすく言うと“商品を自動的に販売していくためのステップ・システム”のことです。社長・オーナーが何も手を出さなくても、自動的に商品が売れて収益が上がるようにするための仕組みが構築されているはずです」

 このシステムを盗む上で、注目すべきは、「どういうステップで商品を作り、販売しているのか?」「どういうステップでお客様対応をしているのか?」ということ。その上で、自分が仕組みのどの部分を担っているのかを考えると、「だからこの業務があるのか」「だから上司はここでこういうことをしているのか」と、徐々に「仕組み」を理解できるようになるという。

 そして、自分でビジネスを立ち上げる際には、下記のフローで「仕組み」を作っていく。

1.ビジネスの全体像を明確にして、必要なタスクをすべて紙に書き出す
2.出てきたタスクを実際に行われる順番にステップバイステップに並べ替えて、フローチャート(仕事の流れ図)を作る
3.それぞれのタスクを一流にこなしてくれるスペシャリストを探す
4.自分や特定の人が抜けても大丈夫なようにマニュアルを整える。

 もちろん、ビジネスチャンスをものにできるのは、一生懸命仕事に取り組み、自分のスキルを磨いてきた人だけ。しかし、「仕事は自ら手に汗をかいてこそ」「人一倍稼ぐには、人一倍働かなくてはならない」――そんな考え方が、つらく苦しいラットレースを生むのも確か。「怠けようと考えるのは悪いことではない」「自分が働かなくても回る仕組みを考えよう」というマインドに切り替えた時、人生を笑って楽しむための新たな働き方が見えてくるかもしれない。

文=矢口あやは