関連本が続々刊行 ビジネス界で注目される「内向型人間」とは?

ビジネス

公開日:2013/11/28

 「自分の意見を人前でハッキリ言える」、「その場でスパッと決断できる」、「明るく社交的で人が集まる場所が大好き」、「フェイスブックを積極的に活用しています(爽やかな笑顔で)」などなど。世間一般的には好感度が高く、ネット上ではリア充として疎まれがちな、あの人々の時代が終わろうとしている…と聞いて、思わずガッツポーズを(小さく)とってしまった人も多いはず。そう、ついに内気なボクらの時代の、夜明けが見えてきたようなのだ。

 そのキーワードとなるのが「内向型」。これまで、リーダーシップをとるために必須とされてきた「外向型」な性格をもつ人間にかわり、これからは「内向型」の性格を活かすことができる人間が社会に“静かな”影響を与えていく、といった趣旨で『内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力』(スーザン・ケイン:著、古草秀子:訳/講談社)や『内向型人間がもつ秘めたる影響力』(ジェニファー・B・カーンウェイラー:著、境 誠輝:訳/すばる舎)など「内向型人間」の魅力を紹介する書籍が、アメリカを中心に世界的なベストセラーとなっているという。今年に入ってからは、国内でも訳書や『内向型人間のリーダーシップにはコツがある 頼めない・叱れない・人間関係が苦手…』(渡瀬謙/大和出版)のように、日本人による「内向型人間」をテーマにしたビジネス書が、続々と出版されていることからも、その注目度がわかるだろう。

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「内向型人間」というキーワードを最初に提示したスーザン・ケインや、ジェニファー・B・カーンウェイラーらムーブメントの中心人物による「内向型人間」の定義は、

・集団よりも1人でいることを好む
・即断ではなく、じっくりと考えてから意見を表明する
・話すよりも聞くことのほうが得意
・「大きさ」よりも「深さ」にこだわる
・自分の内面を人にみせたくない

 といったところ。こうした性格が、学校や会社などの組織では、あまり歓迎されないものだったことは、上記に心当たりがある人であれば十分にわかるはず。しかしケインやカーンウェイラーによれば、スティーブ・ジョブズにかわりアップル社のCEOに就いたティム・クックやアメリカの著名投資家であるウォーレン・バフェットなど、現在活躍しているビジネスパーソンや著名人の多くが、実は「内向型人間」なのだという。

 ただし、いくら1人でいることが好きだからといって、それだけで社会的に成功できるわけじゃないのは、いうまでもないこと。「内向型人間」関連の書籍を読むと、成功している「内向型人間」たちは、自分の性格を否定せず、その特性を活かすことで外向型主導だった社会にカウンターを与え、自分のポジションを確立させていることがわかる。

 なぁ~んだ、結局は頑張って社会になじまないとダメなのね、とがっかりした人も多いだろうが、少なくとも、無理して「外向型」を装わなくても上を目指すことができるというのは、少なからぬ朗報となるはず。心の底で日々「リア充爆発しろ!」と念じ続けている人は、そのパワーを自分の「内向型」磨きに向けてみるといいかもしれませんよ?

文=石井内郎