ベストセラー『永遠の0』映画化 迫力&リアルな戦闘シーンは必見

映画

公開日:2013/12/6

 『永遠の0』の映画が公開される。太平洋戦争末期、一人の特攻隊員の生きざまを描いた本作。戦闘シーンの臨場感がすごい。

 零戦と米軍戦闘機による空戦、爆弾投下、ミッドウェー海戦での巨大空母の沈没……など、今は存在しない戦闘機、戦闘シーンが頻繁に出てくる。観ている限り、VFX(CGやデジタル合成など特殊撮影)でものすごいことをしているのは想像に難くないが、何がデジタルで何が実写なのか区別がつかない。あまりにリアルな出来だから、ストーリーに没入できるし、あの時代の空気や戦闘を体感している気にさえさせてくれる。

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 監督は、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで昭和の街並みを見事に再現した山崎貴氏。VFXの技術者である山崎監督は、その最先端デジタル技術と実写を組み合わせるバランス感が絶妙だ。空戦シーンの背景となる空や雲はCGを一切使わず、奄美大島の上空で撮影した(岡田准一演じる主人公は天才操縦士である設定ゆえ、その飛行シーンは同じ動きで撮らなければならない。だからヘリでカメラワークをしながら!)。オープンセットで一部を再現した巨大空母・赤城が海面と接する映像は、自衛隊の護衛艦・たかなみの海上での動きを撮影して合成し、滑るように海を進む赤城の映像を作り出した。“神は細部に宿る”がごとく、積み重ねられたこだわり映像の数々。原作の肝である人間ドラマに血を通わせている。

文=平山ゆりの(日経エンタテインメント!)/ダ・ヴィンチ1月号「出版ニュースクリップ」