目が覚めたら勇者だった!? ゲーム感覚で読み進める、ドラクエ的自己分析本

仕事術

更新日:2017/4/14

 先日、アプリ版ドラクエのダウンロードが開始され、ドラクエの魅力に再燃している人も多いだろう。

 今回は、そんなドラクエを自己分析に役立ててしまおう! という本をご紹介しよう。タイトルは、『ドラクエ式 自分の強みを知る冒険』(神谷悟/フォレスト出版)。大手家電メーカーの営業だったはずの主人公は、ある日目が覚めたら勇者になっていた――!? そんなインパクト大な出だしの自己啓発本である。過去に一大ブームとなった『Good Luck』(アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ペス:著、田内志文:訳/ポプラ社)を思わせるようなストーリー仕立てで、非常に引き込まれる作りになっている。読みやすく内容もすんなりアタマに入ってくる。「ビジネス本や自己啓発本を買ってはみるものの、なかなか最後まで読破できない」「読んでもいまいち現実に結びつかない」という人にもぜひ読んでほしい1作だ。

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まずは、あらすじを説明しよう。

 主人公である「ノーバディ・エルス」は、大手家電メーカーに勤める営業マンだった。彼は、そんな自分の仕事に満足できないでいた。「僕はなんてブラックな仕事を選んでしまったのだろう」と、「本当はもっとクリエイティブな仕事がしたかったのに」と、いつもストレスを感じていた。

 そんな中起こった、ありえない事態。彼は、目が覚めたら勇者になっていた。いつの間にやら着ている鎧は、どう足掻いても脱げない。時間は刻々と過ぎていく。会社に行かなければならない。しかし鎧が脱げない。一体これからどうすればいいのだろうか?

 そうこうしていると、エルスが寝ている部屋のドアがノックされた。そして、「エルス様、お目覚めですか? 使いの者が参りました」。来るはずもない使いに困惑しながらも、思い切ってドアを開けると……そこには別世界が広がっていた――。

 ここから、彼の“勇者”としての、王国を救うための壮大な冒険が始まることとなる。

次は、見どころについて。

 まず、装丁からしてRPG感満載のこの本。ページをめくっていくと、RPGのプロローグのような横書きの文章。一見、全くビジネス書には見えない。そんな本書は、初っ端から目が覚めると勇者になっているわけなのだが。ではなぜ勇者なのか。

 ドラクエ等のRPGをしたことのある人は分かると思うが、勇者はゲーム序盤では弱い。決して無敵ではなく、スライムや弱いモンスターにも負けてしまう可能性のある、いわば初心者だ。そこから魔王やドラゴンと戦うため、また世界を救うために、敵との戦闘を重ね、経験値を積んでレベルを上げる。お金を貯めて装備やアイテムを買う。村の住人に話を聞いて回り、情報収集する。その中で、味方となる人を集めたりする。そうやってゲームを進めていく中で、敵との効率的な戦い方、魔法やアイテムの賢い使い方、冒険を進めていく流れやパターンを掴んでいく。

 本書は、この「WILL(=成し遂げたいこと)」「CAN(=スキル、職務遂行能力)」「MUST(=やらなければならないこと)」が詰まっている“勇者”という職業に目を付けた、画期的な自己分析本なのだ。ここがこの本最大の特徴であり、魅力である。RPGには、この3つが短時間で目に見えて楽しく分かるというメリットがある。そのため、内容がすんなり頭に入ってきて、物事の順序や必要なことがリアルに感じられる。自分に足りないものは何なのか、自分は今どの段階なのかを知ることができる。それが分かると、現実で実際に何をしなければならないのかが明確になっていく。小説を読みながらそれらが学べるなんて、まさに一石二鳥! ぜひとも就活や自分磨き、スキルアップに役立ててほしい。

この本を読んで、世界を救う勇者のように、ぜひとも人生を成功させる冒険をしよう!!

文=月乃雫