2013年No.1小説は村上春樹も超えたあの作品!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

もはや年末の恒例行事、本とコミックの情報誌『ダ・ヴィンチ』が主催する本好きたちの総決算「BOOK OF THE YEAR」。ダ・ヴィンチ読者、書店員、文筆家など、本好き4619名が選ぶランキングが発表された。

小説部門では、今年は、12年ぶりの「十二国記」の新作『丕緒の鳥』が堂々1位に! 長い間待ちわびたであろうファンの多さに、今更ながら驚きつつ、時間の経過を感じさせないみずみずしいその筆運びや世界観に圧倒された。同じ意味で村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も、3年ぶりの書き下ろし。2月16日の発表とともに予約がスタートし、アマゾンでは11日間で1万部を突破、初版は30万部を用意、都内の深夜営業の書店には、発売日当日の午前0時に150人以上の行列ができたという。さすがである。

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4位になった『ビブリア古書堂の事件手帖4』、6位の『謎解きはディナーのあとで3』などにみられる、続編やスピンオフ作品など、シリーズもの小説が16本もランクイン。しっかりとしたキャラ設定、細やかな描写、飽きのこない展開やふんだんなエピソードが、読者を惹きつけてやまない理由だろう。一定のラインを継続し続ける、または前作よりもパワーアップさせる力量は、並大抵のことではないのだから。

また人気作家の活躍も見逃せない。伊坂幸太郎は『死神の浮力』『ガソリン生活』『残り全部バケーション』と3冊ランクイン。同じく宮部みゆきも『ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷』『桜ほうさら』『泣き童子 三島屋変調百物語参之続』で3冊、東野圭吾も『夢幻花』『祈りの幕が下りる時』『禁断の魔術 ガリレオ8』と3冊入賞。三浦しをん、池井戸潤は2冊ランクインしている。さらに7月号で発表した「上半期ブック・オブ・ザ・イヤー」一般小説ランキング20にランクインした小説が、半年後の今回も13冊も入賞を果たしているのも興味深い。

同誌では50位までのランキングを発表。1位に寄せて小野不由美からのコメントを掲載するほか、7位『残月(ざんげつ) みをつくし料理帖』の著者・髙田郁のインタビューなどを掲載している。

「BOOK OF THE YEAR 2013」小説ランキング
1位 『丕緒(ひしょ)の鳥 十二国記』 小野不由美 新潮文庫 620円
2位 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹 文藝春秋 1785円
3位 『旅猫リポート』 有川 浩 文藝春秋 1470円
4位 『ビブリア古書堂の事件手帖4 栞子さんと二つの顔』 三上 延 メディアワークス文庫 599円
5位 『死神の浮力』 伊坂幸太郎 文藝春秋 1733円
6位 『謎解きはディナーのあとで3』 東川篤哉 小学館 1575円
7位 『残月(ざんげつ) みをつくし料理帖』 髙田 郁 ハルキ文庫 650円
7位 『ガソリン生活』 伊坂幸太郎 朝日新聞出版 1680円
9位 『何者』 朝井リョウ 新潮社 1575円
10位 『ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷』 宮部みゆき 新潮社 1890円

構成・文=大久保寛子/ダ・ヴィンチ 1月号「ブック・オブ・ザ・イヤー2013」特集