第2回 電子書籍は視力低下につながる?

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更新日:2013/8/13

前回、「電子書籍は目に悪いの?」という質問に眼科医の先生は、「リラックスした環境と適切な時間で読書をするよう心がければ、視力にはほとんど影響がありません」って教えてくれたね。
じゃあ、リラックスした環境と適切な時間って具体的にどんなことなのか。後半でレポートするよ!

コンピュータをはじめとするモニター機器による作業、VDT(Visual Display Terminals)の研究をしている高林克枝先生にお話をお伺いしました。なんと、モニター機器の使用には、厚生労働省による“新しい「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン”があるのだという。それを基に高林先生が考案した、電子書籍の読書環境のルールや、疲れ目に効く運動を教えていただきました。

高林克枝(たかばやし・かつえ)●デジタルヘルスセンター代表。2003年よりオールアバウト健康・医療ガイド。デジタルワーカーの疲れや症状に焦点をあて、快適で健康的なパソコンライフを提唱。トレーニングブック企画・出版や、セミナー&講演などを行う。ツイッターではオフィスの癒しツイート(@dhc4u)を

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前述の前田医師のコメントにもあった通り、モニター機器との関わり方で一番注意したいのは画面の明るさ。モニターの光度の変化による目への影響がよくわかる調査結果が下記にあります。

 

VDT作業後の疲労度
平均調節近点延長率が高いほど疲労度が高い!

※平均調節近点延長率とは:物がはっきり見える一番近いポイント(調節近点)をVDT作業前後で測定した際の差(延長率)の平均値。 人が「目が疲れた」と感じると、水晶体の厚さを調節してピントを合わせる筋肉(毛様体筋)が疲労して調整力が低下して、物がはっきり見える一番近いポイント=調節近点がどんどん遠くなっていく。 本調査ではモニターの使用前使用後における調節近点を測定することで、目の疲れの度合いをある程度数値化できうると考えて実験を行った。

※調査結果、グラフは株式会社ナナオより

 

光量の調整で、目の疲労度はこんなに変わる!

高林先生:あるモニター機器メーカーが実施したVDT作業後の目の疲労度のデータによると、画面を適切な明るさ(=輝度)に下げることで疲労が半減するという結果が出ました。
そもそも、人が“目が疲れたな”と感じると水晶体(眼球のレンズのこと)が厚さを調節し、ピントを合わせる筋肉が自然に動きます。疲労するとこの調整力が低下して、物がハッキリ見えるポイント=調整近点が遠ざかるのです。この調整近点の距離が、目の疲労度をある程度数値化して示すのですよ。

適切な作業ルールを守れば、目の疲れはほとんどゼロに!

高林先生:明るさの調節に加え、厚生労働省のVDT作業ガイドラインに基づく作業指示に従うと、目の疲れはほとんどゼロになるという結果が出ています。次のページでは、そのガイドラインの詳細と、私が考案する“電子書籍による読書のルール”をご紹介します。

→目の疲れがほとんどゼロになる読書のルールとは?