超危険! 郵便番号も抹消…、世界の立ち入り禁止エリア

海外

公開日:2013/12/21

 デパート、病院、オフィスビル…日常生活のなかでも度々お目にかかる「関係者以外立ち入り禁止」の札。実際は、大事な機材があったり控室になっていたりするだけで、とくにおもしろい何かがあるわけではないのだが、入ってはいけないと言われると、入ってみたくなる。見ることができないと思うと、見てみたくなるもの。しかし、世の中にはそんな興味本位では決して入ることのできない、命に関わるような危険区域、立ち入り禁止地域がたくさんある。12月5日に発売された『世界の立入厳禁地帯』(宝島社)から、一般人は一切の立入・進入を禁止されている超危険エリアを紹介してみよう。

 まず、1962年の坑内火災以降50年以上燃え続けているのは、アメリカペンシルベニア州にあるセントラリア。実はこのセントラリア、『サイレントヒル』というホラーゲームのモデルになった街なのだ。炭鉱の町として栄えていたセントラリアだが、坑内で火災が起きてから地表は70℃~80℃の熱を帯び、地下水は水蒸気となって煙とともに噴出するようになったそう。地下水が失われたことで地盤沈下が起き、一酸化炭素や二酸化炭素の濃度も上昇。住民の健康に害を及ぼし、生活を続けるのが困難な状況になった。今では建物がほぼすべて取り壊され、2002年には郵便番号も抹消。未だに地下は燃え続けており、煙と有毒ガスの噴出も続いているのだが、鎮火するには100年以上の時間がかかると言われている。

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 また、ロシアには地図にも載らず、名前もない。外部の人は入ることができず、住民は手紙のやり取りどころか住所を教えることすらできない。そんな秘密都市が存在していた。今ではそれぞれの都市に名前が付けられているのだが、まとめて「閉鎖行政領域体(ZATO)」とも呼ばれており、ロシア国内に42カ所もあるという。ルイバチー原子力潜水艦基地をはじめ、核兵器開発の最先端都市だったチェリャビンスク70、プルトニウム開発の拠点だったマヤーク生産共同体で働く従業員が住んでいたチェリャビンスク65など、ソ連解体で機密解除された後も閉鎖状態だったりする。それに加えて、今ではマフィアの隠れ家にもなっているようなので、危険度は上がっているのかも。

 でも、侵入禁止エリアでもっとも危険なのは、やはり命の危険に晒される場所。核兵器や細菌、ダイオキシンなど、後々身体に害をもたらしたり、現地の人に拘束されるのではなく、興味本位で立ち入ると、確実に殺されてしまう地域が世界にはあるのだ。なかでも、世界一治安の悪い都市と言われる南アフリカのヨハネスブルクは、街自体が侵入禁止エリアと言っても過言ではない。そんなヨハネスブルクのなかに、ポンテシティアパートというマンションがあるのだが、ここは特に危険で「観光客が一歩でも足を踏み入れると、15秒で秒殺」と言われるほど。麻薬取引や売春、ドラッグパーティー、殺人、監禁、レイプといった悪行は毎日のように行われていたという。政府の取り組みで一度は復興の兆しを見せたのだが、世界金融危機の影響で再開発が中止になり、再び悪の巣窟になってしまったそう。

 もちろん、日本にも侵入禁止エリアは存在する。ただ、日本の場合は命の危険や人体に悪影響があるというより、代々続いた伝統を守るために神聖な場所として立入が制限されているものがほとんど。福岡県宗像市の沖合にある沖ノ島もそう。沖ノ島は玄海灘に浮かぶ絶海の孤島なのだが、ここは島全体が神域となっており、一般人が立ち入ることはできない。ここには、古事記に登場する宗像三女神のうち多紀理毘売命を祀る沖津宮が置かれているのだが、他の二女神を祀る宮は誰でも入れるのに対し、沖津宮だけは完全に女人禁制。男性であっても、上陸が許されるのは沖津宮現地大祭が開かれる5月27日だけで、事前に申し込んだ人の中から抽選で選ばれた人しか入れないのだ。大和朝廷の時代から重大な祭祀が行われてきたという沖ノ島は、「海の正倉院」とも呼ばれており、国宝級の神宝が数多く眠っていることでも知られている。21世紀になった今でも、神域として人を寄せ付けない沖ノ島には、やはり不思議な力があるような気がしてくる。

 ほかにも、さまざまな理由で侵入禁止になっているエリアはたくさんある。それでも入ってみたいと言うのなら止めはしないが、何が起きても保障はできないのでくれぐれもお忘れなく。

文=小里樹