ドリームキャスト、セガサターン…セガのハードを擬人化したらどうなる?

マンガ

公開日:2013/12/30

 時代を先取りしすぎたために売れなかったと言われる、不遇の家庭用ゲーム機。それが、ドリームキャストやセガサターンといったセガのハードたちだ。そんなセガのハードたちを美少女擬人化し、さらに現代に連れてきてしまったというラノベ『現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと』(師走トオル:著、KEI:イラスト/アスキー・メディアワークス)が12月10日に発売された。高天原からやってきたというセガハードの女神たちは、セガの本社がある大鳥居駅の隣にある穴守稲荷神社の息子・菅原勇雄と妹の遊伊に面倒を見てもらうことになるという設定なのだが……。すでに販売終了から10年以上経ったゲームハードたちはどんな美少女になり、現代日本でどんなことを思うのだろう?

 まず、セガ最後のゲーム機となったドリームキャストの神だという瀬賀守夢実は、コントローラーのような髪飾りとぐるぐるマークが特徴。そして、腰には刀を提げているのだが、これはドリームキャストのコードネームが“カタナ”だったから。ドリームキャストの開発当時、セガ社内では2つの試作機が開発されていたそう。1つはコードネーム“ブラックベルト”、黒帯。それを「斬って勝つ」という意味を込めてカタナとつけられたらしい。そんな彼女は、自分たちが役目を終えたあとに生まれたゲームや娯楽を研究するために人間界にやってきた。でも、菅原家にあるプレステ3を睨みつけたり、「PSOの続編が、PSVitaで出てます……!」と言って泣いたりする。

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 また、夢実のお姉さん的存在であるセガサターンは、人間界に来て早々祟り神になってしまうのだ。「あたしはただ憂さを晴らしたいだけなんだから」「人間なんて滅べばいいのよ!プレステよりあたしの方がよっぽど高性能だったじゃない!」と喚く彼女は、積もり積もった鬱憤を晴らすため、黒いオーラを振りまきながら暴れまわる。でも、夢実の「セガサターンは発売から一年半の間はナンバーワン・ゲームハードで在り続けたじゃないですか!」という一言で、我に返るのだ。

 そして、1985年に発売され、世界でも人気を博したマークⅢの神さまは、タキシード風の格好にシルクハットをかぶったボクっ娘。かなりの高スペックでいろんな周辺機器があることでも話題になったマークⅢは、テレビとハードの無線化も実現させた。しかし、そんなマークⅢに対して、「あれ? でもコードが邪魔になるのってコントローラーの方じゃないのー?」と無邪気に発言する遊伊。さらに勇雄が「日本の部屋って狭いから別に無線にこだわる必要なんてない気はするけどな」と追い打ちをかけると、マークⅢはとうとうぶちギレて祟り神になってしまう。「いくら設計思想が優れてるって言ったって結局はファミコンに負けたよおおおお!親に頼んだらファミコンと間違えてボクを買ってきたって!? だからなに!?」と叫び「そうだよおおおお、どうせボクはもう要らない子なんだよおおおおおお!」と嘆く彼女の悲鳴は、当時を知る人からしたら胸に痛いかも。

 さらに、日本初の完全フルカラー携帯ゲーム機・ゲームギアの神は、高天原と人間界の連絡役を務めている。普段は無表情・無感情なので、ある程度何を言われてもキレたりしないのだが、菅原兄妹が調子に乗ってからかい続け「早く切れるのは電池だけだったよねー」「まったく、単三電池六本使って三時間しか持たないって割とギャグだったよな」言うと、危うく祟り神になりかけてしまう。でも、用事を済ませると「わたし、疲れやすいタイプだから」と言ってあっさり帰っていくところは、やはり“電池六本三時間”の名残。

 セガハードの神は、沸点が低いのですぐキレて祟り神になってしまうのが難点だが、彼女たちに“逃げ”はないので、みんな正面からぶつかって祟り神になってしまった姉妹たちを救う。散々「負けハード」扱いされてきたけど、セガハードは今考えても評価されるに値するだけの技術を披露してきた。時代を先取りしたセガハードたちは、今こそ見直されるべきなのかもしれない。まぁ、肝心のそのハードはすでに生産中止になっているのだけれども……。

文=小里樹