本だからこそ感じられるものがある! 吉田照美が選ぶエンターテインメントを楽しむ本ランキング

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

芸能、スポーツ、映画、音楽…エンタメといえど無数にあり楽しみ方は人それぞれ。そこで今回は、「本」にフィーチャーし、ラジオパーソナリティーとして40年、エンタメ業界最前線に立ち続けている吉田照美さんに“エンターテインメントを楽しむ本”をランキング形式で紹介してもらった。

■1位『透明人間の告白』(上・下) H・F・セイント/著 高見 浩/訳 河出文庫 各998円
証券アナリストがある事故に巻き込まれ透明人間に。やがて秘密情報機関に追われ……。『本の雑誌』(本の雑誌社)が選んだ「30年間のベスト30」で1位を獲得した作品。

advertisement

■2位『テロルの決算〈新装版〉』 沢木耕太郎 文春文庫 704円
社会党委員長・浅沼稲次郎暗殺事件(1960年)を描いた作品。実行犯・山口二矢と、殺された浅沼の両者の様子を交互に追う構成で、大宅ノンフィクション賞を受賞した。

■3位『幕末 維新の暗号 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか』(上・下) 加治将一 祥伝社文庫 上630円、下650円
明治維新の舞台裏に迫る幕末ミステリー。龍馬、西郷、高杉、岩倉、大久保、中岡……といった幕末の志士たちが勢ぞろいする集合写真の存在を軸に、様々な謎が浮かび上がる。

■4位『赤頭巾ちゃん気をつけて』 庄司 薫 新潮文庫 483円
学生運動が盛んだった時代、不運続きの高校3年生・薫は、様々なことに思いをめぐらせ……。真の知性、戦後民主主義といったテーマまで扱う青春小説。第61回芥川賞受賞作。

■5位『ガラスの靴 悪い仲間』 安岡章太郎 講談社文芸文庫 1155円
“短編の名手”と言われる安岡章太郎の出世作「ガラスの靴」と、芥川賞受賞作「悪い仲間」などを収載した一冊。ランキングの選者・吉田さんは「文体にほれぼれする」と語る。

■6位『新装版 コインロッカー・ベイビーズ』 村上 龍 講談社文庫 920円
コインロッカーに捨てられ、乳児院で育ったキクとハシの物語。成長し母親を探しにいくが……。村上龍が1980年に発表した、清々しくも毒々しい傑作。

■7位『ウォッチャーズ』(上・下) ディーン・R・クーンツ/著 松本剛史/訳 文春文庫 品切れ重版未定
孤独な中年男が森で拾った犬は、言葉を解する学者犬だった!? やがてその秘密を狙い、KGBからミュータントの殺し屋が放たれ……。スピーディーな展開が冴える痛快な作品。

■8位『ねじ式』 つげ義春 小学館文庫C版 610円
メメクラゲに左腕を噛まれ静脈を切断された男が、医者を探してさまよい歩くシュールな表題作の他、様々な短編マンガを収載。不条理で悪夢的な、つげワールドが繰り広げられる。

■9位『ベルサイユのばら 完全版』(全9巻) 池田理代子 集英社ガールズC 1300~1700円
革命直前のフランスが舞台の傑作少女マンガ。男装の麗人オスカルやマリー・アントワネットらの恋模様や人生が描かれる。吉田さんは「史実と創作部分のバランスが絶妙」と語る。

■10位『ラジオマン1974~2013 僕のラジオデイズ』 吉田照美 ぴあ 1680円
時代を超えてラジオパーソナリティーとして活躍する吉田照美の過去や、現在の思いがわかる一冊。吉田さんの半生がわかると同時に、その間のラジオシーンの様子も読み取れる。

取材・文(ランキング部分)=澤井 一/ダ・ヴィンチ2月号 「その道のプロに聞く! ダ・ヴィンチなんでもランキング」