涅槃に転石に誰? 海外のバンド名の由来を本人たちが明らかに!

音楽

2014/1/15

 洋楽番組などで本人たちが曲紹介をするシーンはよく見かけるものだが、そのコメントのパターンは、だいたい「ハーイ! 俺たち◯◯(バンド名)だぜ。アルバム『□□』(タイトル)聞いてくれよな!」といったような内容だ。しかしそれを日本語にすると、なかなか珍妙な感じになる。例えばこれが、グランジ・ロックの雄であった、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』だったら…….

「ハーイ! 俺たち涅槃(ねはん)だぜ。アルバム『気にすんな』聞いてくれよな!」

 アルバムのタイトルもさることながら、仏教用語で「悟りの世界」を意味する「涅槃」という名前を、日本のバンドがつけるというのは、あまり考えられないことだろう。このように洋楽のバンド名というのは、日本語に訳すと意味がよくわからないものがあったりする。そんな疑問を解消してくれるのが、『バンド名由来事典(CROSS BEAT Presents)』(シンコーミュージック)だ。音楽雑誌『CROSS BEAT』(現在休刊中)の特別企画だった「アーティスト自身が語るバンド名の由来」が好評だったことから企画され、音楽雑誌で本人たちがバンド名の由来を語っている記事から抜粋して編纂された由来事典だ。

 ちなみにニルヴァーナの由来は、ボーカルとギターを担当していたカート・コバーンによると「詩的で美しくて響きのいい名前を付けたかった」という理由からで、この名前になるまでバンド名は二転三転していたという。バンドのベーシストだったクリス・ノヴォセリックも「この言葉自体には意味があるけど、特に深い考えがあったわけじゃないんだ」と言葉の響きであることを強調している。ちなみにこの「ニルヴァーナ」は1960年代にイギリスで活動していたデュオの名前が先だったそうで、こうしたバンド名を巡る揉め事あれこれや、レディー・ガガやボブ・ディランなどの個人名についてもコラムとして掲載されている。

 ヘンな名前といえば「転石」といわれるローリング・ストーンズは、ライブハウスの「マーキー」に出演する際、まだなかったバンド名を聞かれて、楽屋の床にあった「シカゴ・ブルースの父」と呼ばれたマディ・ウォーターズのレコードの1曲目だった『Rollin’ Stone』から名付けられたと、ギターのキース・リチャーズが語っている。また直訳だと「誰」になるザ・フーは、ヴォーカルのロジャー・ダルトリー、ベースのジョン・エントウィッスル、ギターのピート・タウンゼントが、バンド名について考えているときにジョークで出てきたものをバンド名にしたそうだ。

 他の由来には、当時のバンドが置かれていた状況を言い表した言葉、辞書を引いてそこにあった単語、好きなアーティストの曲、映画のタイトルや登場人物、当時のあだ名、ゲームソフト、店に貼られていたポスターのもじり、人に聞かれてとっさに出た単語、エロい意味、インドの王様の名前、皮肉、飼っていた犬の名前、落書き、酔客の思いつき、おばあちゃんの作るとんでもない保存食、心理学書の目次から、政治やシステムに対する憤り、意味のない言葉を探した結果……などなどその理由は千差万別。意味があったり思いつきだったり、今でも名前を変えたいというバンドがあったりなど、結構いい加減に付けられていたりすることに驚く。

 この他にもザ・ビートルズ(カブトムシ)、ディープ・パープル(深紫)、KISS(接吻)、クイーン(女王)、 ガンズ・アンド・ローゼズ(銃とバラ)、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(赤熱唐辛子)、レディオヘッド(ラジオ頭)、グリーンデイ(緑日)、ブラー(ぼんやり)、ザ・ストーン・ローゼズ(石のバラ)など約200組の由来を紹介している本書。これで「あのヘンなバンド名」に関する長年の疑問もスッキリすること間違いなしだ!

文=成田全(ナリタタモツ)