成功したければニンジャに学べ! ビジネスで勝つための忍びの心得

仕事術

公開日:2014/1/20

 「アンドロイドを抹殺する」。死を目前としてもスティーブ・ジョブズはそんな言葉を遺したという。
 ライバルを打ち負かそうという強い意志やストイックさ――。そんなジョブズは実は忍者だった!? という驚きの説を提唱するのは、全米家電協会の会長兼CEOであるゲーリー・シャピロの著書『ニンジャ・イノベーション』(中西真雄美:訳/アルファポリス)。シャピロは、自身が経験した武道の修行を通じ、目標を設定し、それを達成する力を学んだとのことで、彼が出会ってきた多くの起業家の中でも、革新的かつ大きな成功を収めたのは、同じように明確な目標を設定し、何度も挑戦し続けた人々だそうだ。

 「ニンジャ・イノベーター」とは武道を身につけた忍者のように任務の遂行を唯一の特性とし、先例にとらわれず常に新しい戦略を打ち出し、実力主義のビジネスの世界を勝ち抜く起業家のこと。ただし。かつての忍者と異なり、現代の「ニンジャ・イノベーター」は、いくらでも失敗が許されるという。成功を目論む若手のビジネスマンが参考にすべきその代表的な特徴を伝授しよう!

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◆遂行すべき任務を定め、戦略を立案すべし
 エジソンは電球の発明の後、多額の費用を掛けて発電所も開発した。エジソンにとって電球の発明は単なる通過点に過ぎず、どの家庭にも明かりが灯るようにすることがゴールだった。シャピロによれば、エジソンは「世界に変革をもたらすモノを生み出すこと」だけを目指していたのだと言う。忍者が任務を完遂することを目的としたように、「ニンジャ・イノベーター」は遂行すべき任務を定めた上で、それを達成するための戦略を立案していく。任務完遂のために必要なのは何か、そのために向かうべきはどこかを認識しなくてはイノベーションを起こせない。シャピロは、まず我々に大切なのは、確固たるビジョンを定め、それを見失わぬようにすることだと指摘している。

◆時にはリスクもとるべし
 忍者は任務遂行のためならば、俊敏に時勢に対応し、時にはリスクを取ることも恐れない。「ニンジャ・イノベーター」も同じで、例えば、PCが普及し始めた1990年代、半導体チップメーカーのインテルはマーケットシェアを拡大する勝機を見いだし、数億ドルを投資。その結果、「インテル入ってる」という宣伝文句に象徴されるようにインテルはPCの性能を象徴する隠れたブランドを生み出す企業へと転換した。シャピロによれば、インテルがリスクを取れたのは、自らが最高の技術と製造プロセスを持ち、膨大な広告費用もその性能で支えられると信じていたためだと言う。イノベーションを成し遂げるためには、時にリスクを取ることが必要だが、それを成功に導く日頃の鍛錬も欠かせないそうだ。

◆機が熟すまで忍ぶべし
 忍者の振る舞いは「自制心」に基づいている。シャピロによれば、「ニンジャ・イノベーター」は常に「消費者が求めているものは何か」「技術が要求を満足させているかどうか」を考え、例えば、2000年からマイクロソフトは長らくタブレットPCの開発・販売していたが、売り上げは思うように伸びず、結果として消費者は2010年発売されたアップルのiPadを選択した。アップルは苦戦するマイクロソフトを冷静に見て、自らの製品を改良しながら、機が熟すのを待っていたのだ。これは忍者の「忍び」にも通じるかもしれない。「ニンジャ・イノベーター」は時に姿を隠しながら、敵に目を欺くために、綿密なプランニングを行なっている。

◆思考の枠に捕わられるべからず
 古来、忍者は先例に捕わられずに、限られた武器で革新的な方法で戦いに勝たねばならなかった。シャピロ曰く「ニンジャ・イノベーター」は思考の枠に縛られない。例えば、オハイオ州を拠点とする新進ベンチャー企業は銀行のATMのアイデアを応用して基本的な医療ニーズを満たす簡易スタンドを生み出した。このように「ニンジャ・イノベーター」は常にモノの応用を考え、独創的で有効なアイデアを生み出す。我々も既に存在しているあらゆるアイデアの他分野での応用や組み合わせを考え続ければ、敵に打ち勝つ新しいアイデアを生み出すことができるかもしれない。

 かつての忍者にとって失敗は死活問題だったが、「ニンジャ・イノベーター」は、いくらでも失敗が許されるとシャピロは言う。何回も挑戦して敗れる経験を積み、成功するための方法を見いだすことが大切なのだ。例えば、ヘンリー・フォードが最初に創設したデトロイト自動車会社はわずか3年で解散したが、彼はその2年後にはフォード・モーターを設立した。周りをよく観察して、どういう脅威があるのか、好機はいつなのかを敏感に見極めることが重要であるようだ。

 この本を片手に、時に忍び、時に攻め、さあ修錬に励もう!アナタが「ニンジャ・イノベーター」になるのも決して夢ではない。

文=アサトーミナミ