福山雅治みたいな美声に近づけるかも!? 噂の「1分間の美声レッスン」

美容

更新日:2014/1/28

 「声がいい人」は得をする。日常生活の中で、そんなシーンに遭遇したことはありませんか?

 たとえば「モテ声」「イケメンボイス」な人は、それだけで異性からの好感度が高く、親切にされたりする。また会議中、よく声が通る人が発言すると、内容に関わらず、その発言がひときわ存在感を放つ、など。

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 あののど飴でおなじみのカンロが20歳代から50歳代の男女800人を対象にアンケートを実施したところ、「異性のいい声にときめくことがある」と答えた人は76.8%。さらに「声がいい人は仕事ができそうな印象に感じる」と回答した人は全体の71.5%を占めました。

 ちなみに「自分の声に自信がある」と回答した人はわずか26.6%。「いい声だなあと思う有名人」は「福山雅治」さんがダントツ1位だったそうです。その理由、どちらもよくわかる気がしますよね。

 そこで、プロのボーカリストとボイストレーナーが発声のノウハウをレクチャーする『たった1分間の美声レッスン』(堀澤麻衣子、司 拓也/宝島社)から、いい声を出すための発声法や練習方法をご紹介しましょう。著者の堀澤さんによれば「声は短期間で変えることができる」そうなのです。

 本書にはメソッドが収録されたCD(収録時間60分)がついており、音声を聞きながら行うスタイル。「たった1分」とうたわれていますが、本来の声を引き出し声をよくするメソッド、「話す声」の10大悩みの解決法、歌に関する声の悩み解決法まで、CDに収録されている分だけでも38項目。立ち方から始まって、声の印象を変えるレベルまで、まるでボイトレの先生にマンツーマンで教わっているかのように、ひとつひとつに詳細な説明がなされ、その量は膨大なので、ここでは準備編のみ、試した感想とともにとり上げてみます。

【1分で声がよくなる身体をつくる】

1)身体の中心にゆるぎない軸をつくりながら、それ以外の部分は脱力
 重心を一瞬で下げるイメージングとして、すねの上の筋肉に乗っているバターが溶けて、トロ~っと流れ落ちる様子をイメージする、とのこと。すると足指の力みがとれて、声を出す上で大切な「地に足がついた感覚」が得られるのだとか。やってみると、イメージしたことを体感するのが意外に難しい。

2)骨の上にまっすぐ乗るよう重心を調整し、身体の中に軸をつくる
 本書で図解されている、土踏まずの内側、かかとの前あたりの位置にすっと乗るように意識しました。

3)丹田を軸にして立つ
 丹田には力を入れず、腰から手先や足先に向かって水がジャージャーと流れる感覚をイメージング。「ジャー、ジャー、」と、口に出して行うとやりやすかったです。

4)深く吸って吐く「丹田呼吸法」でリラックス&デトックス
 上半身を倒しながら静かに空気を吐き出し、身体を起こしながら足裏の湧泉から吸った空気が頭頂まで達するイメージで細く長く息を吸い、空気を頭頂に少し留めてから丹田までゆっくり下ろして息を吐く。本書の解説はさらに細かく、40秒かけて行います。始めはけっこうしんどいですが、呼吸をコントロールすることに慣れてくると集中力が高まり、メントレにもつながりそうな気がしてきました。

 その後のメソッドも、頭の中を空っぽにして恥ずかしがらずに無心に声を出したり、指示どおり素直に口を開けたり、体をゆるめないと、なかなかうまくいきません。また、自分の声や身体を思ったようにコントロールすることの難しさに改めて気づくなど、さまざまな発見がありました。

 説明表現がやや感覚的だったり、イメージが重視される傾向があるなど、本書の根底にはスピリチュアルで精神的なものが流れているのを感じます。よく「有名バンドのボーカリストが通うボイトレの先生は、スピリチュアル系な方が多い」と耳にしていたことを思い出しました。レッスン中、「身体は声を鳴らす楽器」「天と自分がつながっているのを感じて」などと指導されると聞いたことがあります。

 この本でも「いい声」から遠ざかってしまう理由として、身体や精神の状態との関連に注目しています。普段デスクワークで身体を動かさないでいると上半身に力が入りやすく、声帯まわりの首や肩の筋肉が緊張し、喉が閉まって声を出しにくくなる。だからこそ、のびやかに歌い楽に話しができる「声の鳴る身体を取り戻す」ためのメソッドが必要なのだというあたりは、納得です。

 著者は「声が出るようになったことでメンタルが変わり、メンタルが変わったことで行動が変わり、行動は結果を生み出し、気づくと自分に自信がもてるようになっていました」と、自己啓発書にあるような体験を語っています。本書の最後に、成熟したものの、没個性的で感情表現が希薄な現代社会を示唆するような興味深い言葉も書かれていたので、最後にそちらをご紹介します。

「人の気持ちを理解し、人の心を感動させ、情動を震わせるモノやサービスに、人は価値を感じる時代となりました。(中略)感性不在の時代だからこそ、感性をもった人が世界を動かすのです」

文=タニハタマユミ