受験、就活…、勝負の時期だからこそ陥りやすい、若者のSNS疲れとは

IT

2014/1/28

 これから数ヵ月は受験や就活など、人生を賭けた一大イベントが目白押しだ。後輩達の様子をSNSで垣間みると、誰もが意識高い系(笑)のものや空気を読まない投稿をしていることに気付かされる。「〇〇に内定をもらいました!」「××に合格しました!」「センターで9割越えしました!」…。自慢やら決意表明で溢れ返る画面を見ていると、かつてよりも若者は気苦労が多そうな気がしてくる。皆、必ず何処かで意思表明しないといけないと思っているのか、そうでないなら虚勢を張らないといけないようだ。そんな空気に、人生を賭けたこの時期だからこそ「SNS疲れ」を起こしてしまう場合も少なくはない。だが、人は便利なはずのSNSに疲れ、疲れながらも止めることができない場合も多い。「SNS疲れ」とは何なのか。乗り越えるにはどうしたら良いだろうか。

 精神科医の香山リカ著『絆ストレス 「つながりたい」という病』(青春出版社)では、人と絆を感じていたいが、強い結びつきには傷ついてしまう現代人の繊細な姿を描き出している。「SNS疲れ」もその現象のひとつ。「SNS疲れ」とはソーシャル上のやりとりに気を配り過ぎて疲れてしまうことだ。香山によれば、SNSでの絆を断ち切らないように細心の注意を払って相手の気持ちを汲み取ろうと配慮し過ぎるが故に、繊細な人ほど、SNSに疲れてしまうようだ。

 香山の診療を受けた学生には、誰かが書いているSNSの投稿を見て、その人の1日が簡単に想像できると述べたという。充実した毎日を過ごしている他の仲間の様子を想像すれば、どうしても自分と比べてしまう。自分は今日も1日ダラダラ過ごしてしまったことがどうしても許せなくなってしまうのだ。

 だが、香山は、SNS上の投稿が周りの学生が本当のことを書いているとは限らないことを指摘している。自分に都合の悪いことは書くはずがない。冷静に考えればすぐに、「この人は、“こう見せたい自分”を書き込んでいるだけ」などとわかるのだが、自分がたまたま落ち込んでしまっている時、調子が悪い時であればあるほど、そこに書かれていることが全て真実に見えてくる。特に、受験や就活など上手く行かない時、ただで友人達の動向が気になる時に「〇〇に内定をもらいました!」「OB訪問をして、こんな社会人になりたいと思いました! 頑張るぞー!」「××に合格しました!」「センターは失敗しましたが、絶対に合格してみせます!」などの投稿を目にしたら、気が滅入ってしまうのも仕方がない。

 SNS全盛の現代を生きる我々には、本人が自覚していようといまいと、たくさんの視線の中で生きようとする傾向、その中で他人との比較で自分のポジションを確認しようという傾向があるのだと香山はいう。ネットで気軽なコミュニケーションを楽しめるはずのSNSにいつの間に疲れさせられ、劣等感や他人への嫉妬を膨らませてしまうということも少なくはない。

 では、劣等感を乗り越え、人生の一大イベントを乗り切るにはどうしたら良いのだろうか。例えば、石渡嶺司著『就活のコノヤロー ネット就活の限界。その先は?』(光文社)では長年、就活の取材を続けてきた石渡が内定獲得のためのヒントも示唆している。就活が上手く行かない学生は「同じゼミ・サークルの友人は内定をもらった。それに引き換え自分は…」と思い悩んでしまい、社会に必要とされていないのかと思いがちであり、ウチにこもりやすい傾向があると石渡は言う。敗因のパターン化は難しいが、勝利の方程式として石渡は、先輩との接点を持つことを指摘している。社会人と話せば、自分では気付かなかった視点が生まれるし、考えが整理される。時には焦り過ぎる必要がないことも分かるかもしれない。彼らは視野が狭くなってしまっているだけなのだ。

 これと受験生も同様なのだろう。SNSは人と気軽に繋がる場を手軽に提供しているが、時に成功している人が全てだと思わせられ、プレッシャーを与える場合もある。自意識や劣等感、承認欲求や嫉妬心のような感情を膨らませるのではなく、前向きに自分の将来を見据えたい。視野を広く保ち、楽しくSNSを活用できるように、リアルの場での人との交流、特に先輩との交流を大切に人生の一大イベントを乗り越えてほしい。

文=アサトーミナミ