向井理、綾野剛よりカッコいい!? BLに登場するSAT隊員がすごい

BL

公開日:2014/2/5

 向井理と綾野剛のW主演で、放送開始前から映画化が発表されるなど、今期大注目のドラマ『S-最後の警官-』(TBS系)。まったく新しい警察ドラマとして、犯人の生死を問わず“制圧”するSATと、犯人を生かしたまま“確保”することを目的とするNPSの対立を描いている。しかし、1話で犯人グループが大量の銃を手に入れて乱射したり、向井演じる神御蔵一號がパンチで壁を破壊して犯人を確保するシーンがあるので、シリアスなはずなのに思わず笑ってしまったという人もいるよう。そこで、『鮮烈に闇を裂け』(かわい有美子:著、緒田涼歌:イラスト/幻冬舎)や『LOVE TARGET~恋の弾丸~』(妃川螢:著、水名瀬雅良:イラスト/海王社)、『極道は蜜を暴く』(秋山みち花:著、周防佑未:イラスト/リブレ出版)といったBL作品から、もっとすごいSAT隊員を紹介してみよう。

 まずは、『鮮烈に闇を裂け』に登場する高梁晄。やや細身で身が軽く、敏捷性に優れた彼は、SAT内でもネコと呼ばれてかわいがられている。その特性を買われた高梁は、都市銀行に銀行強盗が押し入り、人質を取って立てこもったとき、ヘルメットなしでダクトパイプから侵入し、特殊閃光弾と催涙弾を投げ込むという大役を任された。致死性がないとは言え、害がないわけではないので「人質のいる状態で催涙弾を使用するのは、かなり稀」だというが、それほど緊迫した状況で「撃たれても、最後に催涙弾と特殊閃光弾ぶっぱなすぐらいはやってみせます」と言い切る高梁は、さすがプロ。

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 また、『LOVE TARGET~恋の弾丸~』の主人公・高須賀由朔は、父親や兄弟も警察官だという警察一家に生まれた。医師が往診に行った老婦人の家で、薬物中毒者と思われる立てこもり犯に捕まり、人質にされた事件では、「伏せろ!」と叫んで窓ガラスを破って突入し、犯人の確保と人質の救助を遂行。オフの日にバスジャックにあったときも、外にいるSITと協力しながら拳銃を持った犯人2人をたった1人で制圧してしまうのだ。高須賀は「銃弾が飛び交うまっただなかにも、飛び込んでいく覚悟はある」と言うが、それも嘘ではないのだろう。そして、彼の手には「無数に刻まれた古傷」があるのだが、それを見られると「傷を負うのは鍛錬が足りないから」とストイックに返す。「出動自体が稀なSATにおいては、日々の訓練が主たる任務のようなもの」だそうだが、身体はもちろん、精神面の鍛錬も欠かせないのだ。

 さらに、SAT隊員なのに、極道のトップと恋人関係になってしまう人もいる。それが、『極道は蜜を暴く』の主人公・草薙郁也だ。彼が極道のトップである喜多村と恋人関係になったきっかけは、ある事件で、犯人もわかっていないのに何らかの裏事情で捜査が打ち切られてしまったこと。それに納得できなかった草薙は、自分の身体を代償に極道の力を借りることにする。しかし、喜多村と付き合っているとはいえ、草薙は警察としての正義感や責任感をなくしているわけではない。ロサンゼルスでの研修中、レストランに銃を持った不審者が入ってきたときは、相手の下半身にタックルをかまして押さえつける。喜多村が殺されそうになったときも、自分が罠にはめられ、犯人に自分ごと背後から拳銃で狙われているとわかっていながら「俺はいい! あんたのことは俺が守る! 絶対に殺させない!」と叫んで力任せに覆いかぶさり、自ら盾になって庇うのだ。極道だとか、自分の愛する人だということは関係なく、誰かのために自分の命を投げ出せる人なんてそういない。

 こうやってみてみると、BLに登場するSATの方が、ドラマよりファンタジーで「ありえない」と思った人もいるだろう。しかし、出動自体も稀だが、それ以上に普段どんなことをしているのか。どんな隊員がいるのかといったあらゆる情報が謎に包まれているからこそ、SATみんなの興味を引く。それに、ドラマや小説ではリアリティーがないように感じられるが、もしかしたら、本物のSATは物語で描かれるSATよりよっぽど非現実的な世界にいるのかもしれない。

文=小里樹