ベストセラー作家も大絶賛の名作コミック かまたきみこ『KATANA』10巻登場!

ピックアップ

更新日:2014/2/7

ファン代表 結城光流 インタビュー

いまや『KATANA』のとりこです!

 私と『KATANA』との出会いは、とある書店で平積みされていたのがきっかけ。

「オロチ刀」の襲と目が合ったんです。「『KATANA』? 妖刀? 七支刀? ……これは面白い気がする」と直感し、既刊全巻一気買いしました。

 で、見事にはまりました。面白かった、このひと言に尽きます。登場人物も刀の使い方も展開も……。

advertisement

 私が好きなキャラクターは赤龍と小狛。私を知っている人は「ああ……」と納得すると思います(笑)。あとは虎落と三ツ胴とオロチ。特にオロチは最期が切なかった。襲は別格ということで。あ、勿論滉も好きです。成川のおじいちゃんとお父さんも。

 そこで、かまたさんにおききしたいのですが、刀に意思があり人や動物の形をとって滉の前に現れる、という発想はどのようにして生まれたのでしょうか? また、登場する刀の銘と「姿」は、どのようにして決めているのですか? 取材の過程で出会った、心に残るエピソードや、面白いと思ったこと、今後の展開なども、もしよければ教えてください。

ゆうき・みつる●2000年9月『篁破幻草子 あだし野に眠るもの』で作家デビュー。02年より「少年陰陽師」シリーズをスタート。累計500万部を超える大ヒット作となる。ほかに『陰陽師・安倍晴明』『モンスター・クラーン』などがある。また、デジタル野性時代で『吉祥寺よろず怪事請負処』を不定期連載中。14年4月からは学芸通信社主催で『陰陽師 安倍晴明』の新聞連載がスタート予定。

 

著者 かまたきみこ インタビュー

日本刀の魅力を一人でも多くの読者へ

 刀に意思があるというのは一種の擬人法です。マンガを研究している外国の方から、「日本人がなんでもモノを擬人化するのはなぜか」と質問を受けたことがあります。やはり、日本人の傾向かもしれません。
 ただ、刀の世界はアイディアの宝庫なんですね。日本刀の形状や装飾、歴史がそのままお話のネタになるのです。

 取材は、最初は緊張でガチガチでしたが、刀匠さんや刀職人さんたちと交流がすすむにつれて、お互いリラックスできるようになりました。日本刀に限らず、伝統文化を担う人たちは、過去から現在への、縦の線はとても強力なのですが、その伝統の深さ重さ故に、他分野……横へのアプローチに興味がないのですね。他分野の人たちが必要に応じてお互いに協力すれば、もっと凄くて面白くて強い日本文化が生まれるんじゃないかな。

 取材を通して私も成長させてもらいました。今回、再び『KATANA』を出版していただけるということで、これまでの原稿をチェックしたのですが、古い原稿ほど、刀の仕様や、研ぎのポーズなど、間違いが多くて我ながら失笑。当初は基本知識がゼロの状態で連載が始まってしまったので、描写が追いつかなかったんですね。間違いがわかるということは、日本刀についてすこしは成長したのかな、と感じました。だったらもう一段、深めて描けるかな? と自分に投げかけています。

 今後の展開は、過去に張ったいくつかの伏線を回収したいですし、新しい強力な刀を登場させたいです。また、海外の人からも愛されている日本刀を、表現したいという野望を持っています(笑)。ユルな日本刀マンガですが、気楽に読んでください。

かまた・きみこ●福井県出身。1993年『眠れぬ夜の奇妙な話』11号掲載の「花束」でデビュー。『KATANA』シリーズのほか、『Nemuki』に『王の庭』シリーズを連載。単行本に『空中飲茶飯店』上下、短編集『てんから』など。日本刀を愛好する仲間と同人誌『鐵の命』も発行。

 

KATANA  衛府の太刀

『KATANA 衛府の太刀』(10巻)

かまたきみこ KADOKAWA 角川書店
あすかC DX 609円 2月26日発売予定

イギリスの古城で見つかったのは平安後期のものと思われる太刀。それは、一対の兄弟太刀の片割れ。数奇な運命を辿りイギリスにたどり着いた太刀の魂魄は、里帰りのために日本に運ばれ、懐かしい兄の姿を求めて現代の都会に飛び出していった。強い絆で結ばれた兄弟の魂魄を滉と襲刀はどう救うのか?

 

既刊情報

『KATANA』(1〜6巻)

かまたきみこ KADOKAWA 角川書店
あすかC DX 各609円

7巻以降も順次刊行予定

 

取材・文=中野晴行 ©かまたきみこ/KADOKAWA