モデルは美輪明宏!? 美内すずえが語る月影先生の魅力とは

マンガ

更新日:2014/2/16

 国民的少女マンガといえばご存知『ガラスの仮面』。1月23日にテレビ朝日系で放送された『アメトーーク』では満を持して「ガラスの仮面芸人」が集い、その魅力を語りあうなど、人気はマンガ界にとどまらない。『ダ・ヴィンチ』3月号「マンガヒーロー&ヒロインランキング」特集では、著者の美内すずえを直撃。主人公の北島マヤを見出し、影から見守り続ける大女優・月影千草がどのように生まれたのか、その背景を語っている。

――黒いドレスに身を包み、ロングヘアは傷のある顔を半分隠している。そしてこのセリフ。

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「おそろしい子!」

 月影千草。大河演劇マンガ『ガラスの仮面』の主人公・北島マヤの才能を見出し、育てた大女優だ。「月影先生」と聞けば、多くの人がパッと姿を思い浮かべるだろう。まさに「キャラが立った」人物を生み出した背景は!?

 と作者の美内すずえさんに意気込んで聞くと、
「特にこう、何がどうで生まれたという苦労話は何にもないんですよ」とさらりと言う。

「イメージとして、陰のある人で、常に主人公に対して師となる人、というところから始まって、黒髪で黒装束の『黒夫人』で……と。女優だけれど顔をケガしてしまい、後継者を探していて、その理由は……と中身もいっぺんに出来ましたね」

 特にモデルとなる人物もいなかったのだろうか。

「それがね、ずーっと自分の意識をたどっていくと、もしかしたら原型は、丸山明宏(現・美輪明宏)さんかもしれないなと思って。私が中学生か高校生の頃に、『黒蜥蜴』の舞台をやられていたんですよ。実際の舞台を観るのはずっと後なんですが、雑誌で写真はよく見ていた。とても妖しくて謎めいた雰囲気で、なんて美しいんだろうと思った。その気持ちがずっとどこかに残っていた気がします。だから、だいぶ後になって『ガラスの仮面』の舞台化の話をいただいた時に“月影先生は、丸山明宏さんでできないですかね?”って言ってしまったこともあります(笑)」

 実際、舞台、テレビドラマとこれまで何人かの女優たちによって月影千草は演じられてきた。

「ドラマで野際陽子さんがやってくださった時、撮影の初日に観に行ったら、セットの陰から黒装束の野際さん……月影先生が出てきてびっくりしました。もう役になりきっていらっしゃるので何も言わずに、丁寧に頭を下げられて、すっと行かれた。前を通りすぎた時の、横から見たラインがマンガの絵にそっくりだったんですよ。絵が、立体的にそこにある、と思いましたね。蜷川幸雄さんの舞台では夏木マリさんがやってくださって。迫力があって素敵でした。こうしてみると、月影千草をやれる人というのは、どこか男性的な力強さを持った人がいいのかもしれないですね」

 記憶に新しいところでは、コミックスの広告でマツコ・デラックスが演じたこともあった。

「最初に話を聞いた時はのけぞったんですよ。でもマツコさんがバラエティで長いドレスを着て座ってる姿を思い出して、そこに月影先生の衣装をぱっとかぶせたら……合う!と。本当に凝った写真を撮っていただいて。美しかったです(笑)!」

 誰が演じるか、がいつも話題になるのは、読者の中に明確にキャラクター造形があるからにほかならない。

「今度は思わぬ人にチャレンジしてもらいたいなと。男性でもいいと思います!」

 同誌では月影先生の過去や恋愛、最新刊でのエピソードなど、その舞台裏についても語っている。

取材・文=門倉紫麻/ダ・ヴィンチ3月号「マンガヒーロー&ヒロインランキング」特集