意外と難しい! オタ友との友情を長続きさせる秘訣とは?

マンガ

公開日:2014/2/16

 アイドル、アニメ、鉄道…さまざまな分野でのオタクカルチャーが花盛りな現代、オタク活動(オタ活)がより楽しくなる要因のひとつが、オタク友達(オタ友)の存在ではないだろうか。一緒に遠征したり、情報交換をしたり、グッズを貸し借りしたりと共通の趣味を理解し合える関係は、通常の友人関係以上に尊いもの。

 しかしこのオタ友は友情を長続きさせるのが難しいといわれている。ネット上では「オタ友との関係が気まずい」「不仲になってきた」といった相談が多く見受けられ、最終的には「縁を切った」という人まで。オタ友との友情を長続きさせるにはどうすればいいのか? 若手俳優を“おっかけ”る2人の女性の友情の悲喜こもごもを描いたマンガ『2DK 2013 WINTER』(竹内佐千子/講談社)から学んでみよう。

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 物語の主人公は、パティシエとして働くしっかり者の「こむぎ」と、日常生活スキルがまるでない自由人の「きなり」。2人は『仮面ライダー』や『ミュージカル テニスの王子様』に出演している若手俳優のおっかけ。舞台や握手会はもちろん、遠征まで一緒に行く仲で、きなりが父親から自立を促されたことをきっかけに、2DKをルームシェアすることになる。

 他人と暮らすとさまざまな「違い」に直面する。例えば、テレビを買いに行くシーン。予算や間取りを考えて現実的な大きさを買おうとするこむぎに対し、好きな俳優を大画面の3Dで見たいと騒ぐきなり。すると、俳優のファンクラブからテレビでのレギュラー決定を知らせるメールが来た瞬間、2人は高画質のテレビを即決。その愚直な行動に笑いつつも、「共通の趣味」がもたらす寛容さ・適当さが「違い」を乗り越える手段となることに気づく。

 また、生活となると大きな問題になるのが「お金」。家賃の支払いが遅れるきなりに、こむぎがキレる回も秀逸だ。寝ているきなりを起こすものの、「ん~~~うるさい~~~」と言われたこむぎは堪忍袋の緒が切れ、「起きんがいやコラァ!! こんダァホ!!!」と一喝。「1日くらいいーじゃん!! まだ余裕あるし!!」と言い訳がましいきなりに、「ちゃんとせえや!! これやんと何もでけへんねんぞボケェ…」と普段の温厚な性格から想像できない、厳しい口調で説教をする。なあなあになってしまいがちなお金のことをはっきり伝えて、「生活を共にしている」ことを意識させる。これも共同生活を続ける上での技術なのかもしれない。

 とはいえ、大変ばかりなことではないのが、オタ友との共同生活。職場ではため息ばかりで、同僚に心配されるも「ほんとなんでもないんです! 仕事はちゃんとするので!」と強がるこむぎ。しかし自宅の玄関を開けたとたん、きなりが泣きながら飛びついてくる。きなりの感情むき出しな姿に気が緩み、こむぎも号泣。実は、2人が応援していた若手俳優が引退を発表したのだった。端から見えればささいなことだが、ファンにとっては大ショックな出来事。悲しみを分かち合い、慰め合う夜はなにより得難いものなのだ。

 通常のルームシェアでさえ、友情にひびが入り、シェアを解消したというのはわりとよく聞く話。そこに共通の趣味が介在すれば、趣味に対する熱量や金銭感覚の違いといった要因も出てくる。それだけに『2DK』で描かれる奇跡的なバランスの友情は、私たちにまぶしく映るのかもしれない。