マンガ家と編集者の闘いを描いた実録小説『担当の夜』

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

2014年2月10日(月)、東京・下北沢B&Bにて関純二氏『担当の夜』(文藝春秋)の刊行を記念して「漫画編集者という仕事」と題されたトークライブが行われた。

『担当の夜』は、青年マンガ誌の編集長を長く勤めた関氏の体験に基づく実録小説ともいえる内容で、雑誌の裏側であるマンガ家と編集者の虚々実々の騙し合いからマンガの内容をめぐる激しいバトルまでが描かれている。

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マンガ編集者とマンガ家の共闘とその関係の破綻を描いた「担当の夜」、不人気の「大家」から破門されるマンガ編集者「担当の朝」、書かない新人マンガ家のしたたかすぎる生命力「最後の担当」、なぜか早死にするマンガ編集者たちへの痛切なレクイエム「俺酒」の4編を収録。巻末には表紙のイラストを担当したすぎむらしんいち氏の書き下ろしマンガも収録。さらに、著者近影は大友克洋氏の手によるイラストとなっているなど、マンガ愛がにじみ出ている1冊だ。

先日行われたイベントのゲストは、表紙のイラストを担当したすぎむらしんいち氏。関氏とは20年をこえる付き合いだということだ。すぎむら氏が、これまでの担当編集者のエピソードを紹介しつつ「漫画家と編集者は仲が悪いのか?」について、関氏との赤裸々なトークが繰り広げられた。

さらに、現在講談社の『ネメシス』(季刊)で連載中の『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ ―童貞SOS―』(ジョンビ)の他に、ひさしぶりの週刊新連載を年内に始動することがすぎむら氏自身からこの日、明らかにされるなど、まさに青年マンガ雑誌の熱い時代を思い起こさせるトークイベントとなった。

■『担当の夜』 関純二 文藝春秋 1365円(税込)