もう少し感動に浸っていたい! 文庫で深めるオリンピックの興奮

スポーツ

公開日:2014/2/20

 残すところあとわずかとなったソチ五輪。寝不足の人も多いだろう。14日には羽生結弦選手が男子フィギュアスケートで日本初の金メダルを獲得。スキージャンプの男子団体ラージヒルでは銅メダルを獲得し、葛西紀明選手が涙を見せた。惜しくもメダルを逃した選手たちも含め、凌ぎを削り、この日のために努力をしてきたアスリートたちの強さ、美しさは圧巻だ。しかしその一瞬のために、どれほど過酷な日々を過ごしてきたのか。その積み重ねられた願いと努力に次ぐ努力を思うからこそ、観る側は涙する。

発売中の『ダ・ヴィンチ』3月号では、そんなオリンピックをより深めるための文庫を紹介している。

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■『浅田真央 age18-20』 宇都宮直子 文春文庫 630円
2010年のバンクーバーオリンピックでは、銀メダルに輝いた浅田真央・19歳。あれから4年。彼女はソチでどんな結果を残すのだろう。18歳から20歳までの軌跡を記した本書には、彼女の葛藤、努力、強さ、そしてバンクーバーでの悔しさ、思いもつづられている。

■『STEP!STEP! STEP! 高橋大輔 フィギュアスケートを行く』 原 真子 日経ビジネス人文庫 800円
男子フィギュア人気を牽引してきた、高橋大輔の日常が網羅されている一冊。コーチとの出会い、体づくり、衣装、ケガ、メンタル強化術、4回転ジャンプ、スポンサー、賞金。プロスポーツ選手とは違う、五輪メダリストの日々が紹介されている。北島康介との対談も必見。

■『金メダル遺伝子を探せ』 善家 賢 角川文庫 660円
メダリストたちの類稀な運動能力を、目に見えない「遺伝子」という側面から調べた報道番組をまとめた一冊。瞬発力系競技に有利になる遺伝子、持久力系競技に有利になる遺伝子、エベレスト登頂者に共通する遺伝子のタイプなど、人間の体に科学の角度から切り込んでいる。

■『日本人アスリート名語録 世界が驚嘆した「サムライ・なでしこ」の言葉185』 桑原晃弥 PHP文庫 600円
メダリストやアスリートたちの宝物のような言葉、そしてその言葉が生まれた背景をつづっている。結果がすべてのスポーツだが、その先にあるもの、それまでにあったものの大きさを185の名言が教えてくれる。一流アスリートたちの見えない努力、決意、覚悟が響いてくる。

■『こんな凄い奴がいた 技あり、スポーツ界の寵児たち』 長田渚左 文春文庫 570円
オリンピックなどで戦った38人のアスリートを描いたノンフィクション。メダリストたちの決定的な勝利の瞬間、驚くような人間技が記されている。貴重な生の声、オリンピックに費やした日々など、どれも舌を巻かずにはいられない。ボイコットしたモスクワ大会の舞台裏も興味深い。

 同誌ではほかにも、東京オリンピックが決まった今だからこそ読むべき、前回の東京オリンピックに関する熱いノンフィクションや、スポーツに生きた人々を映し出すオリンピックを舞台にした小説など、数々の作品を紹介している。

構成・文=大久保寛子/ダ・ヴィンチ3月号「文庫ダ・ヴィンチ」