新入社員を上手にほめて伸ばす、5つのテクニック!

ビジネス

2014/3/3

 春、新入社員が期待を胸に入社してくる季節。一方で、迎える先輩社員もドキドキしているのではないだろうか。最近はゆとり世代、さとり世代などと、若者たちのペルソナにも変化が起きているようだ。では、そんな彼らとは、どのような点に気をつけて接すればいいのだろう。今回は、ほめ方を通したコミュニケーション術を学んでみたい。

 特に日本人はほめることをあまりせず、ほめられることにも慣れていない。しかし、それでは空気が殺伐としてしまうし、自己肯定感も低いまま。そんな自身の体験を通じて書かれているのは、齋藤孝著『ほめる力「楽しく生きる人」はここがちがう』(筑摩書房)。著者は教育学者として日本語に関するベストセラーを出版したり、テレビでも軽妙な語り口で人気を得ている。また、大学では教壇に立ち、学生たちに授業も行っている。そんな中で、グループでプレゼンをする授業をしたとき、見ていた側が意見を言う場面で「いちゃもんのような否定的意見を言われて、疲れ果ててしまう学生も出た」ほど、ほめることに慣れていない若者が多いと感じていたそうだ。そこで「私の授業では“ほめて、ほめて、ほめまくれ”ということを徹底するようにした」。すると、ようやく場が温まり、コミュニケーションが円滑に運ぶようになったという。

 では、どのようにほめればいいのだろう。著者が説く、効果的なほめ方が興味深い。

1)話し始めるときに「いいですねぇ」から入る
意見を伝えようと考えるほど、否定的な意見になってしまいがちな日本人。とすれば、はじめからほめ体制でいけば、自然とほめられるのだそう。これは、長嶋茂雄氏が野球解説でコメントをする際の口癖でもあった。

2)エネルギーを注いだ部分を、ほめる
たとえば目元がパッチリとしている女性に「つけまつ毛、強力ですね。ステキです」とストレートに言ってはいけない。「目元がくっきりして顔全体の印象が変わりますよ」などと、その人ががんばって目指そうとしたものをくみとって、その努力を評価しよう。目に見える表側だけでなく、目に見えない裏側の努力をほめることを心がけたい。

3)「あなたは~に向いている」と、ほめる
掃除が丁寧な若手社員に対して「あなたは辞書作りに向いているね」とほめる。これは、三浦しをん著『舟を編む』(光文社)のワンシーンである。これをきっかけに若手社員は、新たなモチベーションを抱くことができた。このほめ方の特徴として「“向いている”だけだから、いま現在その能力が高い必要はない」という点が優れている。新人に対して、その分野で経験値の高い先輩がほめるときに、非常に有効だ。

4)エコーのように、ほめる
著者がテレビ局内を歩いているときに、とあるタレントのマネージャーや関係者が前方からすれ違う際に、ネクタイを褒めてくれた。そして、立ち去ってからも、著者の背後でほめつづけている会話が聞こえていたそうだ。上辺ではなく、本気でほめてくれたことが伝わるので、非常に強烈なテクニックと説いている。

5)欠点や失敗を、ほめる
若手社員であれば、失敗のひとつやふたつはある。そんなときに、叱り続けるのではなく、失敗をもほめてしまうとよい。「あの失敗があったから、いまがあるんだね」と肯定してあげるのだ。また、いわゆる作業が遅い人に対しては「丁寧に考えて作業をしてくれている証拠だよ」など言ってあげることで、当人は勇気づけられ、成長に繋がっていく。

 ほめることは、相手の自己肯定感を高める効果があり、双方の一体感にも繋がっていく。すると、会社の中で失敗して切り捨てられるという恐怖心がなくなり、まるで家族のような信頼関係の中で安心して仕事に打ち込めるようになるそう。また、ほめる側にもメリットがあり、妬みや嫉妬、競争心といったネガティブな感情から解放される効果があるという。春からは「ほめ言葉のシャワー」を浴びせ合ってみてはいかが?

文=八幡啓司