芸能人の法令線はなぜ目立たないのか? 口元のマル秘法則

美容

公開日:2014/3/5

 よく「人は見た目が9割」と言われるが、そのことは「人は視覚情報を優先する」という、アメリカの心理学者の実験でも証明されている。

 そして顔の中で、最もよく動いて人の視線を引きつける部分といえば、ズバリ口元だ。しかも美容のプロに取材すると、“口元がすべての印象を台無しにする”という言葉を耳にする。口元にはその人の品性や生活習慣が如実に反映されるというから、うかつなことはできない。

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 そこでミス・ユニバースや女優、最近では某有名アイドルグループのメンバーも足しげく通う審美歯科ドクター・石井さとこ氏の『口元から美人になる52の法則』(講談社)から、口元のエクササイズや老け顔防止策を学んでみたい。

 4つの章からなるこの本は、口元美容のスペシャリストである著者が、口やデンタルまわりの美の法則から、精神論にも通じるちょっといい話を見開き単位で展開。合間に具体的なエクササイズやケア法を紹介する美容と健康のエッセンスがつまった構成だ。52項目もあるので、興味を引かれた箇所からパラパラ読むのもいいだろう。

 第1章は「老け顔に見える落とし穴 VS. 見せない技」。この章で特に印象的だったのは「芸能人は法令線が目立たないわけ」という項だ。たとえば、「え~、○○できないの?」という、マイナス思考のフレーズが口ぐせになっている人は、「え」という発音のたびに口角が下がり気味になり、老け顔の原因となる法令線ができやすいという。

 しかし、普段から自分の生活や人生に責任を持っているポジティブな人は、常にキリッと口角を上げている。特に芸能人は、口角を上げて笑うことに加えて、演技したりトークしたりと、日々口元をよく動かし、口まわりの筋肉をしなやかに保っているので法令線が目立たないのだとか。ポイントは「大きな声ではっきり発音して、きちんと話す」こと。意識して「ちゃんと奥歯で噛む」ことも大切なのだそうだ。

 第2章は「幸せ顔・不幸顔の分かれ道」。この章でインパクトがあったのは「お口ポカンは不幸顔の始まり」だ。カフェでスマホ片手に、口をポカンと開けたままメールをしている方はいないだろうか。口元に締まりがないと口呼吸になるため、フェイスラインがゆるんでたるみ、これまた幸薄そうな表情になってしまうのだという。

 口が開いてしまう原因は、歯並びや噛み合わせの悪さ、鼻の疾患など。防止策は「舌の位置」を正すこと。口を閉じているとき、本来舌は上あごの裏に納まっているべきものだそうだが、現代人の多くは、でろんと舌の筋肉をゆるめてしまう。口を閉じて舌をきゅっと上げるように意識するだけで、顔全体も引き上がるのだという。

 第3章は「カムカムダイエット」。ダイエットは噛むことから始まるのだそうだ。なぜなら噛むという行為は、脳を活性化させ、副交感神経を刺激してリラックス効果をもたらしてくれるからだ。さらに噛むこと自体が表情筋のトレーニングとなり、フェイスラインの引き締め効果が期待できる。これらの「噛むことのメリット」を頭に入れて、意識的に噛む回数をしっかりと増やしていこう。

 ラストの第4章は「唇・口臭を制するものは美を制す」。意外なことに、歯周病菌は女性ホルモンが大好物なのだとか。つまり女性はホルモンステージによって、口の中のケアを考えることが大切になる。生理中はオーラルケアに力を入れて、朝いちばんにするべきは歯磨き前の口すすぎ。予洗いで差がつくそうだ。理想的なのは冷水ではなく、体温に近いぬるま湯。そして口いっぱいに水を含むのではなく、おちょこ1杯分くらいのほうが汚れを落としやすい。

 ちなみにオヤジの好物、レバーやブリ、ししゃもには肌や粘膜の健康を保つビタミンB群が豊富に含まれ、だからオヤジで唇がカサついてる人は少ないのだという。

 歯と口元は美と健康を支える基盤である。そして口元は、たとえ年をとってからでも、手をかければかけるほど、美容効果が出るという。白い歯にふっくらとツヤやかな唇、口角はピッと上げて法令線の見えない幸せ顔を手に入れたい人は、ぜひ、本書の法則をお試しあれ。

文=タニハタマユミ