特集番外編2 2014年4月号

特集番外編2

更新日:2014/4/4

特集番外編2 2014年4月号

ブレイク必至! 読まなきゃ損!!
マンガを読む楽しさの原点がここに

編集K

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『ハイキュー!!』特集、担当させて頂きました。
連載開始時からずーーーーっと追いかけていた作品で、
著者の古舘春一先生が筆者と同じ岩手県の出身&宮城にもゆかりがあるということで、勝手に縁を感じていたり……。
バレーボール好きの同僚がものすごい形相で『ハイキュー!!』への愛を語っているのを聞き(見て)、これはなんとか記事にせねば!と思い、今回の大特集と相成りました。

そんな『ハイキュー!!』。
今回の特集に収録された古舘先生のインタビューでライターの吉田大助氏が繰り返し熱弁されているように、とにかく1話のインパクトがすごかった!
題材となるバレーボールというスポーツ自体は、例えば野球やサッカーと比べた場合、多くの読者に馴染みのあるスポーツとはいえません。
また作品をよくよく読み込んでいくと、バレーボールは絵を描く上でカメラ(視点)のもって行き方がすごく難しいし、常に同じ選手がコート上にいるわけではない(ローテーションシステム)など、描かれていないところで起きていること、ルール上の制約が多いということに気付かされます。
昨年特集をさせて頂いた『黒子のバスケ』にとって『SLAM DUNK』という大きな壁があったように、『ハイキュー!!』にもバレーボールという種目にチャレンジする難しさがあったのだと思います。この辺りについては特集の締めくくりで『ハイキュー!!』担当編集者の『週刊少年ジャンプ』編集部・本田さんが考察してくださっています。
しかしながらそんな心配をよそに、『ハイキュー!!』は第1話から鳥肌が立つほど完成されていました。
映画を観ているような情報量と、キャラが紙の上で躍動しているような熱量がぐわっと伝わってくきます。
162cmとバレーボールプレーヤーとしては致命的なまでに身長が低い主人公の日向翔陽は、一方で天賦の跳躍力とバレーボールへのあくなき執着心を持ち合わせ、時折見せる表情には読み手を怯ませるような“凄み”があります。
後にその相方となる影山飛雄は天才セッターの名をほしいままにしながら、唯我独尊的な性格が災いし“コート上の王様”と揶揄される孤高の存在でした。
日向がなんとか作り上げた寄せ集めの弱小校と、影山率いる名門バレー部の一戦はもちろん後者に軍配があがりますが、日向の存在は影山の脳裏に残り続け、後に高校に進学した二人は味方として再会する。
日向にとって影山という存在は一番身近な目標であり、倒すべき“最強の敵”でした。そんな彼が古豪・烏野高校に偶然居合わせたことで“最強の味方”になる。
じつに少年マンガ的なワクワクさせるエピソードですが、それがすべて第1話に盛り込まれているというのが恐ろしいほど。バレーボールファンでなくても間違いなくハマるマンガが登場した――。連載を重ねるごとに作品への期待感はどんどん高まりました。
そんな『ハイキュー!!』もこの春、ついにアニメ放送が開始します。
日曜夕方5時枠での放送ということもあり、間違いなくより多くのファンが『ハイキュー!!』という作品に触れることになるでしょう。

特集冒頭でも書きましたが、『ハイキュー!!』は“太陽”のようなマンガだと思っています。
高校男子バレー部という舞台を通して、青春まっただ中の少年少女たちが持つエネルギーやきらめく一瞬、彼らが勝ちたい!強くなりたい!という純度の高い思いで努力を続けるその姿勢を真正面から描き出そうとしている。
それは古舘春一というマンガ家が、ちょうど彼らがバレーボールに向き合う姿勢と同じようにマンガとガチで格闘しているからではないでしょうか。
そうした古舘先生が“あと一歩”を日々実現しようともがき続けている姿というのは、紙の中で躍動する彼らの輝きの影にきれいにかくれてしまっているけれど、確実に『ハイキュー!!』の魅力を下支えしていると思います。
誤解を恐れずに言えば、古舘先生は『ハイキュー!!』というマンガ、ご自身がずっと描きたかったバレーボールというテーマと格闘する中で日々成長し、作品もキャラクターもどんどんレベルアップしている――そうした鮮度の高い、旬な面白さが『ハイキュー!!』にはぎゅっと詰まっています。

前置きが長くなりましたが、今回の特集ではそんな『ハイキュー!!』の素晴らしさを、ダイジェスト版としてよりたくさんの人にお伝えできればいいな、と思っています。
まだ『ハイキュー!!』を読んでいない読者の方にお伝えしたいのは、本当にもったいないですよ、それ!ということです(笑)。
まだコミックスは9巻と全巻買いしても4000円弱のまさに読み頃。
特集では栗原恵選手やゴッツの愛称で知られる石島雄介選手ら現役で活躍するバレーボール選手らによるコメント、『ハイキュー!!』に登場する白鳥沢学園のモデルとなった宮城県の強豪・東北高校男子バレーボール部への密着取材(マンガに登場するあのキャンパスやバス、そしてリアル・ウシワカ!?の勇姿もばっちり写真におさめてきました!)を敢行。
そして何より、作者・古舘春一先生の1万2000字にもおよぶ超ロングインタビューが締めくくり。先生の生の言葉を、ノーカットでお届けします。

そんな『ダ・ヴィンチ』4月号『ハイキュー!!』大特集。
『ハイキュー!!』ファンのみなさまには作品をより楽しむための副読書として、
まだ読んでいない方にはその魅力に触れて頂く入門書として、ぜひお楽しみください!