ホワイトデーのプレゼントにオススメの絵本5冊

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

 まもなくホワイトデー。バレンタインデーのお返しを何にしようか頭を悩ませている貴兄に、ひとつご提案。

絵本はいかがでしょう?

筆者は、知人の誕生日などに、しばしば絵本を贈る。それなりに仲がいいけど、邪魔になるようなものは贈りたくない。でも、どうせなら少しは自分のセレクト感も出したい。小説は案外読んでもらうのにハードルが高いけれど、絵本なら絵だけでも楽しめるし、短いからその場でも読める。自分が昔読んだ本なら、思い出と一緒に話をしちゃったりして…と、色々なパターンが考えられるけれども、今回はシチュエーション別に5冊をセレクトし、ご紹介。

■1.『にいさん』(いせひでこ/偕成社)

にいさん

ひまわりに囲まれた少年の表紙が印象的なこの絵本は「僕にはにいさんがいた」で始まる。画家・ゴッホの生涯を弟・テオの目線で、ゴッホへの手紙のような文章でつづった、切なく優しい物語。
絵画好きな彼女と、美術館のカフェでお茶でもしながら、そっと贈りたい1冊。

■2.『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』(佐々木マキ/絵本館)

ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします

すっとぼけたヤギの頭に黒いコート、大きなカバンが印象的なムッシュ・ムニエル。彼は、村上春樹氏の小説の表紙や挿絵でも知られる漫画家・イラストレーターの佐々木マキ氏の作品に度々登場する魔術師だ。
ムッシュ・ムニエルが「こどもをひとり さらっていって、まじゅつを おしえながら しごとをてつだわせるつもりです」と、物騒な話だが、ノープロブレム。シュールな世界観と佐々木マキ氏の味わいある絵と文で、「まじゅつ」はあらぬ方向へ…。
遊園地やサーカス系のショーなどを楽しんだ後に。

■3.『黒ねこのおきゃくさま』(ルース・エインズワース:作、荒このみ:訳、山内ふじ江:絵/福音館書店)

黒ねこのおきゃくさま

ある寒い土曜の夜、貧しいおじいさんは、週に一度の楽しみ「ミルクにひたしたパン」を食べようとしていた。気配を感じて玄関を開けると、「おきゃくさま」は弱ったびしょ濡れの黒ねこ…。優しいおじいさんは、黒ねこにせがまれるままに、パンをすべて差し出し、大事にとってあった肉まであげてしまう。薪をくべ、黒ねこと過ごす暖かなひと晩。そして…。
優しさに満ちた文章と「誰かと一緒って素敵だな」と感じる絵のひとつひとつが心を暖かくしてくれる1冊。最初のページのおじいさんの言葉「年をとって体が弱ってきたうえに、金があまりないと、人生はつらいものだ」が泣ける。
動物好きで、世話好きな彼女に。

■4.『茶色の朝』(フランク・パヴロフ:著、ヴィンセント・ギャロ:絵、ほか/大月書店)

茶色の朝

心理学者F.パヴロフの反ファシズムの寓話である本作は、パヴロフの意志でヨーロッパでは1ユーロで販売された。
「ペット特別措置法」を発端に、「茶色が良い、茶色以外はダメ」という価値観に次第に染まっていく社会。政治的無関心が引き起こした異常事態に気付いた時には手遅れだった…。
あなたのことを「いつもマンガばかり読んでいる人」と思っている彼女に送ろう。そして、「今度感想聞かせてよ、ご飯でも食べながら」なんて、誘ってみると良いかも?

■5.『いつもちこくのおとこのこ──ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー』(ジョン・バーニンガム:著、谷川俊太郎:訳/あかね書房)

いつもちこくのおとこのこ──ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー

なぜか、毎日遅刻してくる主人公ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー。彼は毎朝、信じられないような出来事に遭い遅刻する。先生に説明するのだが、信じてもらえない。日に日にハプニングはエスカレートし、最後には…。
いつも待ち合わせに遅れてしまうあなた、これを彼女に贈ろう。英語版なども入手可能なので、「ちょっと英語版を買いにヨーロッパに行ってて、今日は遅刻しちゃった」みたいな言い訳を添えて。

絵本は大きなものや手のひらサイズ、各国語版があるので、ネットで購入の際はご注意あれ。どれを選ぶかはあなたのセンス次第。
いつか、彼女と未来の家族と共に、古びたその本をめくることができたら、なんて。

文=水陶マコト