初心者でも安心 お茶会に参加する方法

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

お茶会に出てくるお茶菓子は、季節に合った美しい形をしている。器や盛り付け方にも拘りや配慮があるなど、日本人の奥深さや遊び心を感じるお茶会に欠かせない一品だ。そんなお茶菓子を、気軽に知ることのできる本が登場した。淡交社から毎月1冊刊行される、淡交テキスト。今年のテーマはお茶菓子。『茶席の菓子』(淡交社)というタイトルで毎月刊行されるその本には、家庭で作れる簡単なお茶菓子レシピから、盛り付け方や頂き方などの作法まで紹介されている。フルカラーで価格も571円(+税)とお手頃。写真も多く、見るだけで幸せな気持ちにってくる。

しかしやっぱり、見るだけではもったいない。せっかくこんな本が出たのだから、ぜひお茶会へ行ってお菓子(とお茶を)を味わいたい。だがお茶会と言えば、作法がややこしいイメージがある。なかなか気軽に参加なんて…と思っていたが、神戸で毎年開催されている、学生がお点前をしてくれるお茶会があるらしい。これなら、ということで参加してみた。

3月8日(土)、兵庫県の神戸市北区にある有馬グランドホテルの茶室“雅中庵”にて、東日本大震災チャリティ追悼茶会が行われた。

お茶会が行われた“雅中庵”
お茶会が行われた“雅中庵”

主催は、NPO法人として活動している天野宗恵先生。青少年、高齢者、障害者に対して伝統文化の継承、心の癒し、地域のコミュニティづくり、そして外出支援に関する事業を行い、青少年の健全育成と高齢者等の福祉の増進を目指して、様々な活動をしている。2002年のオリンピック時に開催された「ソルトレイク空港茶会」では、あの有名なビル・ゲイツも奥さんと共に参加したそうだ。

そんな天野先生にお願いし、茶室の裏側を案内してもらった。

水屋(裏方の仕事をする場所)に入ると、早速お茶菓子が…!
水屋(裏方の仕事をする場所)に入ると、早速お茶菓子が…!
茶室の入り口付近では、学生たちが着々と準備をしていた。
茶室の入り口付近では、学生たちが着々と準備をしていた。

水屋では、みんな和気あいあいとお茶碗を洗ったりお茶を点てたりしていた。先生も非常に気さくな方で、「とにかくお茶を楽しんでほしい」というスタンスで行っている。これなら初心者でも気兼ねなく参加できそうだ。

水屋を一通り見せてもらったところで、実際にお点前を見させてもらうことにした。

茶室の床の間に飾られていた、掛け軸と香合(香を入れるための入れ物)
茶室の床の間に飾られていた、掛け軸と香合(香を入れるための入れ物)
普段なかなか見ることのない、お茶ならではの道具。
普段なかなか見ることのない、お茶ならではの道具。

座って待っていると、早速お茶菓子が配られた。本来は菓子鉢に入っているものを順番に取っていくのだが、このお茶会では、経験がない人のために1人1人に渡してくれる。

色とりどりのお茶菓子。春らしい季節感溢れるものばかりで、思わず見惚れてしまう。
色とりどりのお茶菓子。春らしい季節感溢れるものばかりで、思わず見惚れてしまう。
甘いお茶菓子を食べてお茶を飲むと、ちょうどいい具合に。
甘いお茶菓子を食べてお茶を飲むと、ちょうどいい具合に。
現役の学生だけでなく、卒業生も毎年多く訪れるそうだ。
現役の学生だけでなく、卒業生も毎年多く訪れるそうだ。
水屋から撮影した学生さんのお手前。まだ高校生だが、様になっている
水屋から撮影した学生さんのお手前。まだ高校生だが、様になっている

お茶とお菓子を頂いたところで、主催者である天野先生にいろいろとお話を伺ってみた。

■お茶会で楽しんでほしいポイントは?
天野先生「黙って堅苦しくお茶を飲んで帰るのではなく、お茶やお菓子、そしてその場の雰囲気やお道具など、良いものを平和に楽しんでほしいです」

経験がない人はいろいろと構えてしまいがちだが、実際は本当に開放的で、初心者や未経験のお客さんも大歓迎なのだそう。「もっと多くの人に、お茶の文化に触れてほしい」と話していた。

■お茶の楽しさは何ですか?
天野先生「日常の喧騒から隔離された、茶室という空間。そこで一期一会の精神で、開催側もお客さんもそのすべてを味わい楽しむ。お菓子やお茶はもちろんのこと、茶室やお点前、道具やお花まで、お茶会では日常目にできないものをたくさん見て味わうことができることですね」

お茶の道具には、なかなか目にすることのできない非常に貴重なものが多くある。また、伝統的なものから可愛らしいものまで、本当にバリエーションが豊かなのだとか。お茶やお菓子だけでなく、そういった全てを楽しめるのも、お茶の魅力。

■お茶会にはどうやって参加すればいいのでしょう?
天野先生「探せば意外とあちこちで行われています。何もなくても参加できる場合がほとんどです。しいて言うなら、懐紙(お菓子を乗せる紙)と黒文字(お菓子を切る道具)くらいですね。お金は、だいたい500円~1000円くらいが多いです」

「参加するのに必要なものは?」「お金はどれくらいかかるの? 」など、未経験の人にとって不安の多いお茶会。しかし実際は、考えているほど敷居は高くない。また、この3月21日には、宮城県の仙台市にあるホテルメトロポリタン仙台でも、全席椅子式の「東日本大震災追悼茶会」が開催されるそうだ。

■まだお茶会に参加したことがない人に向けてひとこと
天野先生「“茶道”や“茶会”というと、経験のない人はどうしても足を踏み入れるのをためらってしまいますが、お茶会はお客様をもてなし、美味しいお菓子やお茶を提供する平和なおもてなしの文化です。ぜひ気楽な気持ちで参加してほしいです」

実際に参加してみると、日常とは違う“お茶室”という空間で過ごす時間は、本当にまったりとしていて癒される。日本人でありながら、こんなにいろいろ美味しい体験をしないなんてもったいない。まずは構えずに、「美味しいお茶菓子を食べて、お茶を飲んでみたい!」という気楽な気持ちで行ってみよう。

茶道の本質は、人生を戦っている人が自分を取り戻し立て直すことなのだそうだ。日頃仕事に追われている忙しい人こそ、たまにはこういったお茶会に参加してみてはいかがだろうか。その中で、また戦う気力と覚悟をもらえるかもしれない。

取材・文=月乃雫

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「東日本大震災追悼茶会」
日時:平成26年3月21日(金)12時~16時
場所:ホテルメトロポリタン仙台
主催:NPO法人いちごいちえ 天野宗恵
予約:不要
参加費:無料(募金箱設置)