「マンガ家セット」付録がブーム 新人育成を目指す少女マンガ誌

マンガ

公開日:2014/3/12

『ちゃお』2014年3月号(小学館)

『ちゃお』2014年3月号(小学館)

 一昔前のマンガ家志望の小中学生にとって、スクリーントーンは手に入りにくい憧れの画材だった。ライトボックスなんて夢のまた夢! 道具を揃えるところからまず試練であった。そんな世代にとって、先月発売された3月号の『ちゃお』の付録「今すぐまんが家! パーフェクトコミックセット」は、垂涎の的だ。ペン、スクリーントーン、原稿用紙……。そしてなんと! 小型のライトボックスまで付いていた! 紙もの付録が中心だった世代は、二重の衝撃かもしれない。

 こうした少女マンガ誌の「マンガ家セット」付録は、昨年から続く流行だ。ブームの始まりは、昨年3月号の『なかよし』の付録だ。初めてスクリーントーンを付けたことで話題となり、対象読者の少女だけでなく、冒頭で述べたような世代の“大人”が食いついた。本屋では品切れが相次ぎ、オークションでは一時高値で取引されたほどだ。実際に使ってみた様子をアップする人も続出し、中にはプロのマンガ家もいた。つまり、かつてマンガ家志望だった大人達において、夢の付録であったのだ。

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 また、こうした付録の背景には、現在の少女マンガ誌がいかに新人育成に心を砕いているかも垣間見られる。マンガ家になるためのスキルを、編集者や連載作家が レクチャーしてくれる機会がここ数年増えているし、こうした「マンガ家セット」の試みは読者にマンガ家を目指すきっかけを作り出していることは間違いない。まだまだ続きそうな「マンガ家セット」の付録ブームの進化と効果がこれからも楽しみだ。

文=倉持佳代子/ダ・ヴィンチ4月号「出版ニュースクリップ」