ラノベはやっぱりハッピーエンドじゃなきゃね! ―ブンガク!【最終回】―
公開日:2014/3/13
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~三年生 教室~
「おはようございます! 今川先輩、兄さん。いよいよ卒業式ですね~」
「……ああ、直斗か? ちょうどよかった」
「ん? 兄さん、何かあったの?」
「……卒業式、僕はどうすればいいんだろう?」
「え?」
「実はね、優斗君、卒業式で卒業生代表としてスピーチするんだってさ。そんなこんなで“自分は何を言ったらいいんだー!”慌てちゃってさ」
「これなら昨日の夜は『とある飛空士への追憶』を読まず、素直にスピーチの練習をしておけばよかった!」
「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑った。「光芒五里に及ぶ」美しさを持つ次期皇妃の少女、ファナと流れ者であるシャルルが何の運命のいたずらか、ふたりきりで海上翔破の旅に出る。蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語
「そうなんだ……あはは」
「もう、優斗君ここまで来たら、とりあえず頑張ろう。そうじゃないと後輩のみんなに笑われちゃうよ」
「うん」
「もう、やるだけやってみなきゃ。それに君がそんなんじゃ、スピーチを聞く側のほうが恥ずかしいよ。ね、直斗君!」
「え、僕ですか!? う~ん、まあ、確かに……」
「う~ん、そう……」
「そうだよ、卒業式なんだからここは気合いを入れて行こうよ!」
「うん、わかった……それなら頑張ってみるよ」
「うん、頑張ってね」
「では、僕は卒業式の準備をしてきますね。これでも僕、卒業生の兄さんに記念品を贈る一年生代表ですから」
「ああ、そういえばお前が今年のプレゼンター役だったんだよな」
「そうだよね、君が恥をかいちゃうとその次に恥ずかしいのは直斗君だものね。ここはお兄さんらしく頑張らないとね、優斗君!」
「うう、プレゼンター役が弟だと思うと余計に失敗できないじゃないか……やばい、緊張してきた」
「はあ、じゃあ、先輩、兄さんを頼みますね」
「うん、任せて!」
「それじゃあ、また卒業式で……」
「は~い、またね~」
「プレゼンター役は頼んだぞ~」
「はい、了解! ではまた~」
~体育館~
「……先輩、準備のほうは順調ですか?」
「……ああ、直斗君!」
「……よう、なおっち、どうした」
「な、なんですか、そのたまご形ゲーム的なあだ名は……」
「それはもちろんそのたまご形ゲームから付けた直斗君のFネームさ」
「Fネーム?」
「ああ、それ、彼の独自用語ね。彼曰くフレンド・ネームらしいよ。まあ、あんまり気にしないでやって……それに彼のこういうハイテンションなところを気にしないでというのもいまさらな感じもあるけどね」
「あはは、そういう意味だったんですが、いきなり言われてビックリしちゃいましたよ」
「まあね、僕も朝に会ったら、ともっちとか言われて大変だったよ、笑っちゃうよね」
「おい、ともっち! そういえばこの間貸した『ストライク・ザ・ブラッド』だけど、いつ返してくれるの?」
『ストライク・ザ・ブラッド』(三雲岳斗/アスキー・メディアワークス)
洋上に浮かぶ常夏の人工島で繰り広げられる、学園アクションファンタジー。伝説の中にしか存在しないはずの世界最強の吸血鬼“第四真祖”。 災厄を撒き散らすといわれる幻の吸血鬼が十二の眷獣を従え、日本に出現した。政府の獅子王機関は、 “第四真祖”監視と抹殺のため“剣巫”と呼ばれる攻魔師の派遣。しかしなぜか監視役として選ばれたのは、見習い“剣巫”少女の姫柊雪菜だった。魔族特区“絃神市”を訪れる雪菜はそこで “第四真祖”である暁古城と出会う
「て、今そのあだ名で呼ぶなよ、後輩の前だぞ、超恥ずかしいだろ!!」
「いーじゃん、別にこれからは部のほうは俺らが回さなくちゃいけないんだからさ。少し親しげな呼び方があっても良いだろ」
「でも、そのネーミングはないだろう?」
「なら、智ちゃんは?」
「更に、ないわ! 僕は男なんだぞ、それじゃあ、まるで女の子の名前みたいじゃないか」
「あはは、かわいくていいじゃん!」
「ああ、そう……て、いいわけあるかッ!?」
「……あはは」
「で、直斗君はなんか俺らに用かい?」
「あ、名前が元に戻ってる」
「ああ、まあ……その準備のほうは進んでいますかって聞きに来たのと、あとこれ差し入れのお茶です、どうぞ……」
「おお、ありがとう」
「あ、そういえば直斗君、さっき田中先生が君のことを捜していたよ」
「あ、そうですか、じゃあ、僕のほうから会いに行ってみますね」
「うん、じゃあね~」
「は~い」
~保健室~
「先生、中島です、失礼します」
「ああ、やあ、来たね。おはよう、直斗君」
「あれ、先生、何を読んでいるんですか?」
「ああ、これかい……『空の境界 未来福音』だよ、君も知っているだろう。唯ちゃんが前に僕に進めてくれたんだよ。……にしても彼女は選ぶセンスがいいね」
『空の境界』の正統なる継承作品ここに登場。『空の境界』の新たに書き下ろされたサイドストーリー。黒桐幹也が出会った回避可能な未来を予知する未来視少女・瀬尾静音の小さな恋と両儀式が出会った「決定された未来」を視る事のできる未来視の連続爆弾魔・倉密メルカとの対決を描く、二つの物語。そしてふたつの“未来”が重なり合う結末の行方は!? 新たに紡がれる未来への福音の物語が今始まる
「……そういえば先生、なんか僕を探しているって聞きましたけど何かありましたか?」
「ああ、大した用じゃないよ。ただ、直斗君ここのところ大丈夫かなって思ってさ」
「大丈夫? まあ、大丈夫ですけど……」
「いや、たださ、この前、唯ちゃんを見送ったあとの君はなんか寂しそうだったからさ。少し気になってね」
「……大丈夫ですよ、先生。僕は平気です」
「そうか。おっと、そろそろ時間だね。僕は準備があるから先に行くね。……あ、でももしかすると今日はいいことがあるかもよ」
「はい?」
~ブンガク部 部室~
「……寂しいか。それと卒業式か、できれば唯ちゃんとブンガク部の皆がそろって迎えられたら良かったのにな……」
???「……その唯って言う子はもしかして私のことですか?」
「え!?」
「おはようございます、直斗君」
「あれ、唯ちゃんどうして!?」
「……えーと、まあ、平たく言うと帰ってまいりました。俗に言うアイル・ビー・バックって言うやつです!」
「……でも、なんで、家の都合は?」
「ああ、実は一度家には帰ったのですが、父がですね……」
「父が……」
「……何を勘違いしたのか、私に親しいボーイフレンドができたことを知って何やかんや理由をつけて私を連れ戻したんです」
「え、それって、まさか……?」
「はい、そのまさかの……あなたです、直斗君」
「えーッ!!」
「す、すいません、そういう意味では直斗君に多大な迷惑を……」
「……あはは、なんだこのこれ以上ないほど脱力感が満載な理由は……でも元気そうで安心したよ、唯ちゃん。で、その後はどうしたの?」
「まあ、父に理由を聞いてみたら私がいなくて寂しかったとか、今すぐそのボーイフレンドを自分に紹介しろとか言ってました……でも、最後は理解してくれたみたいで復学することを許してもらえたんです」
「そ、そうだったのか……それはよかった。それならまた僕らは学校に一緒に通えるね」
「はい!」
キ~ン♪ コ~ン♪ カ~ン♪ コ~ン♪
校内アナウンス「卒業式の準備が整いました。在校生は卒業生を迎える準備のため、至急、体育館に集まってください」
キ~ン♪ コ~ン♪ カ~ン♪ コ~ン♪
「校内アナウンスだ。そろそろ行かないと……」
「卒業式にですか……」
「え、うん」
「なら、急ぎましょう、直斗君!」
「あ、ああ、て、唯ちゃんも行くの!?」
「もちろん!」
「変わらないなそのマイペースさ……あ、そういえば一つ言い忘れていたことがあったね」
「え、なんですか?」
「……おかえり、唯ちゃん……」
「……はい、ただいまです!」
……おわり
最後に一言
「こんにちは、僕ら、私たちブンガク部です!」
「今まで『ブンガク!』を見てくださったみなさん、ありがとうございます!」
「みなさんの応援でおかげここまで部を盛り上げることができました!」
「僕らが今こうして笑い合えるのもみなさんのおかげです!」
「これからも俺達はブンガク部として頑張っていこうと思います!」
「『ブンガク!』はこれで最終回ですが、皆さんも私たちのこと忘れないでくださいね」
「あらためて皆さんにここでお礼と感謝の言葉を送ります、では……」
「みなさん、ありがとうございました! またどこかで~!!」