『キルラキル』はSMアニメ!? 奥が深いSMの世界を覗いてみた

暮らし

更新日:2014/3/20

 2クールに渡って大人気のアニメ『キルラキル』。『天元突破グレンラガン』の主要スタッフが独立して立ち上げた、アニメ制作会社TRIGGERが手がけている熱血アニメだ。そんなキルラキル、一部の視聴者から“SMアニメ”と言われている。実際、敵と戦っているシーン等では、制作陣にドMかドSがいらっしゃるのだろうか、と思うほどやたらSMチックな責めが頻出する。際どいファッションに身を包んだ主人公“纏流子(まといりゅうこ)”が鞭で叩かれたり、“蟇郡苛(がまごおりいら)”の極制服にはボールギャグが嵌められてり、敵からの攻撃を溜めこんで放出する“縛の装”という技の途中、受けた攻撃に恍惚とした声を出したり…どう見ても変態だ。2期に入っても、その勢いは衰えることがない。こ、こんなのアニメで…いいぞ、もっとやれ!!

 そんな中、たまたま書店に足を踏み入れた筆者はこんな本を発見した。『Sの妹Mの彼女 はじめてのSM入門』(菊池美佳子/遊タイム出版)。入り口付近で堂々と積まれていたこの本。『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』といい、『キルラキル』といい、『pupa』といい……最近はオタクの間で過激な変態がブームなのだろうか。

advertisement

 SMといえば、キルラキルのシーンのように鞭で叩かれていたり、全身縄で縛られていたりと怖いイメージを思い浮かべる。しかし、この本を見てみると、どうやらそんなハードなことばかりではないようだ。まずはソフトなことから始めてみよう! と書いてあった。しかし「ちょっと覗いてみたい…」。そんな人も多いのではないだろうか? そこで、好奇心旺盛な筆者がSMバーに取材してみた。

 今回取材にご協力いただいたのは、六本木の『Jail』というSMバー。大阪の梅田、名古屋にも店舗がある。特徴は、何といっても店内の装飾。Jailという名の通り店内全体が檻のような造りになっている。

 

六本木Jail
▲店内に入ると、店全体が檻のようだ。

 

六本木Jail
▲棚には首輪や鎖、蝋燭などがいっぱい飾ってあり、ゴシックな雰囲気。

 

 また、特注の椅子や檻型テーブルもあり、実際に檻の中に入れるのだそう。

 

Jailの特注テーブル
▲Jailの特注テーブル。閉じ込められたくはないが、ちょっと遊んでみたくなる…。

 

 こんなちょっとビクビクしてしまう店内だが、お店の女王様やM女さんたちは、みんな気さくで明るく、話しやすい雰囲気。今回取材に応じてくれたのは、女王様の澪さん。

■どんな人が来る?
澪さん「一番多いのはM男性ですね。でも六本木という場所もあって、SやMの人だけでなく、ショーを見にくるノーマルなお客さんも比較的多いですよ」

プレイをしに来る人だけでなく、楽しくおしゃべりがしたくて来る人も。また、SMクラブと違って比較的ソフトなプレイを望む人が多いらしい。澪さんは、「ソフトな人から、好きにして下さい! というハードな人まで大歓迎です♪」と話していた。男女比は7:3くらいとのこと。

■どんなことが行われている?
澪さん「普通に会話したり、軽くいじめて遊んだりから、痛いのもいけるお客さんには鞭とか蝋燭もしたりしますよ。あと、コスプレ衣装もOKで貸衣装も置いています。吊り具と縄で『進撃の巨人』の立体起動を再現していたお客さんもいましたね(笑)」

お客さんは本当に十人十色だそうで、客同士で盛り上がったりすることも多いのだとか。何かのキャラになりきったり、シチュエーションを決めてストーリーの中で遊んだり、みんな妄想力が非常に豊かだった。ちょっと楽しそうに見えてくるから恐ろしい……!

■お店に来てみたい人にひとこと
澪さん「まずは来てみればいいと思います。おしゃべりだけという人でも楽しめますよ。初めての人もリードするので安心して来て下さい♪」

 SMバーの女王様といっても、普通に話している分には本当に優しい穏やかな人ばかりだった。面白い人と友達になりたい! くらいな感覚で遊びに行ってみよう。同じここの女王様である紗珠さんも、「たった一度の人生、興味があることをやった方がいいですよ。一歩踏み出して新しい世界を覗いてみてほしいです。素直になると楽ですよ」と楽しそうに語る。

 お客さんにも話を聞いたところ、「いつもと違う自分が楽しめる」「非日常が楽しい。コスプレの延長です」「面白い人が多いのでお話したくて来ています」「自分は割とガチなので詳細は控えさせていただきます(笑)」などなど、それぞれの目的で楽しみに来ていた。ちなみに『Sの妹Mの彼女 はじめてのSM入門』を女王様に見せてみたところ、「面白い!」「意外とちゃんとしてる!」と好評で、特にイメージプレイのページに食いついていた。やっぱりそこなのか……!

 実際に取材をしてみて、Jailはそこに集まる人たちの息抜きの場所のような気がした。日常に疲れている人やSMに興味がある人は、とりあえずこの本を読んで、お店に足を運んでみよう。何かが変わるかもしれない。

六本木Jail

取材・文=月乃雫