マンガ『ハイキュー!!』の舞台は、羽生結弦選手も輩出した名門校

マンガ

公開日:2014/3/23

 この春、待望のアニメ放送が開始する『ハイキュー!!』は、どこまでもまっすぐなスポーツマンガ。「排球(はいきゅう)=バレーボール」は、どれだけ高く飛べるかという、個人の資質が圧倒的に問われるスポーツでありながら、落としたボールを拾うリベロ、アタッカーに的確なトスをあげるメンバーなど、強固なチームワークがなければ決して勝つことのできない競技だ。

 実は『ハイキュー!!』は、宮城県の高校バレーボール部が舞台。コミック9巻第77話「王者との対峙」に登場する白鳥沢学園の校内は、宮城に実在する全国大会出場の常連、全国優勝経験もある強豪校の南光学園東北高等学校(以下、東北高校)がモデルとなっている。『ダ・ヴィンチ』4月号の『ハイキュー!!』特集では、リアル『ハイキュー!!』を追って東北高校男子バレーボール部に密着取材を行っている。

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――メンバーの中でも一際背が高く、落ち着きのある存在感で目立っていたのは、エースアタッカーを務める小野寺太志くん(3年)。身長201㎝。意外にもバレーを始めたのは高校に入ってから。しかし、2012年の第9回アジアユース男子選手権大会、13年の第13回世界ユース男子バレーボール選手権に出場経験のある天才肌だ。あ、あなたはもしや「ウシワカ」くん!?

「マンガを初めて読んだとき、宮城の高校が舞台で、しかもウシワカはユース代表なので自分とかぶる気がしました。実はちょっと自慢できるかなと思ったんですが……。キャラは全然違いますよね」

 はにかむ笑顔は、確かに威圧感たっぷりのウシワカとは違うかも。

 そんな小野寺くんが『ハイキュー!!』で共感するのは、「一つのボールを繋ぐために、みんなで思いを一つにする」こと。気持ちが切れればボールは落ちる。中心プレーヤーとしてチームをまとめるために「声を掛け合うこと」を大切にしてきた。

「たとえケンカしていても、コートに入れば全員で一つのボールを繋ぐ。声を掛け合い、思いを同じにしないと結果はついてこないんです」

 作品でもメンバーの立場や関係性が描かれるが、チームとして共に戦うことで成長していく。1人ではできない、「5人で強いチーム」だけが、より長くコートに立てるのだ。

 他の部員も『ハイキュー!!』の世界をリアルに感じているよう。みんなにも印象に残っている場面(セリフ)を聞いてみた。

 レフトアタッカーの髙橋祐希くん(1年)が選んだのは、インターハイ予選3回戦に挑む烏野と青葉城西高校(青城)の試合(8巻第65話)。強豪の青城相手に接戦を繰り広げて来た烏野だが、ついに青城のマッチポイント。メンバーに緊張が走る中、ムードメーカーのリベロ西谷が放った「野郎共ビビるなァーッ!!」からの「前のめりで行くぜ」という気合いの言葉だ。

「その一言でチーム内の空気が変わるんです。自分も西谷みたいな存在になりたい」

 セッターの宍戸祐太くん(1年)は、日向のあきらめない気持ちに共感すると言う。中学時代、寄せ集めのメンバーで最初で最後の公式戦に出場した日向。影山のいる北川第一中に手も足も出ないまま、マッチポイントに追い込まれる。「勝てる相手じゃないから頑張らなくても……」という後輩に「まだ負けてないよ?」(1巻第1話)という一言だ。ボールを追うのは勝ちたいから。「本能」から湧き上がる勝利への執念。日向の強さの源を示唆する最初の場面だ。

「どんな劣勢でもまだ終わったわけじゃないという強い気持ちにぐっと来ました。普段、マンガはあまり読まないけど、ここで一気に引き込まれました」

 次期主将の高橋呼暖くん(2年)は、「最初から強い主人公ではなく、未熟な日向が仲間と一緒に成長していくところが面白い。とにかく日向は向上心がすごいですよね。僕もそうなりたい。影響されました」と話す。

 同誌では、部員のほかにも監督にもインタビュー。マンガと現実が呼応しあう、『ハイキュー!!』の魅力を伝えている。

構成・取材・文=荒蝦夷、関口幸希子/ダ・ヴィンチ4月号「ハイキュー!!大特集」