「生まれ変わったらソーラーパネルになりたい」 東日本大震災から3年 もんじゅ君が“対談集”で語ったこと

社会

公開日:2014/3/25

 “日々の仕事や家族や友人たちとの会話はすっかり平熱に戻り、ふるまいも笑顔も変わらない。けれどその下をぺらっとめくると、やっぱりそこには二〇一一年三月十一日に直面した何かがあるのです。”

 今回紹介する書籍『もんじゅ君対談集 3.11で僕らは変わったか』(平凡社)の冒頭でつづられた一文である。装丁にある、口元がにこやかなもんじゅ君と福島第一原子力発電所という1枚の写真。そのコントラストから心へ直接語りかけるような力も感じられる。

 いまだ多くの爪痕を残している東日本大震災。まれにみる規模の巨大地震は、被災地を中心とした東日本だけではなく、日本全国、ひいては世界中の人々を震撼させるほどだった。そして、大津波による広範囲における街の壊滅と共に、チェルノブイリ以来となるメルトダウンを伴った原子力発電所事故という最悪の結果を招き、事態収束のきざしが見えない中で1分1秒という時間が刻々と過ぎ去ろうとしている。

 本書の著者であるもんじゅ君は、福井県にある原子力施設・高速増殖炉もんじゅの非公式ゆるキャラである。東日本大震災が起きた2011年の5月。突如としてTwitterに出現してから、愛くるしくかわいらしいフォルムとほんわかした口調とは裏腹に、原子力や核についての皮肉を交えた発言でまたたく間に人気を集めていった。2014年3月現在、フォロワー数は10万人を上回っており、公式サイトや著者としての書籍出版など、さまざまな場所で原子力やエネルギーについての見解を伝えている。

 そして、震災から3年を迎えて発売された本書では、著名人ともんじゅ君による対談が淡々と綴られている。絵画や彫刻により震災を訴え続ける美術家・奈良美智、環境や平和活動にも尽力する音楽家・坂本龍一、“人の何たるか”を独自に研究し続ける武術研究家・甲野善紀、故郷の福島へ強い愛と想いを傾ける写真家・鈴木心、政治から震災後の社会のあり方を問う哲学者・國分功一郎と、5人の著名人たちは、みずからの分野から震災前後の日本をもんじゅ君と共に語り合っている。

 また、映画にもなった『ハチミツとクローバー』などで知られるマンガ家・羽海野チカも、巻末にイラストと文章を寄せている。たった1枚のイラストの中では、羽海野が生み出したキャラクター・ウミノクマともんじゅ君が共演している。その中で綴られた「生まれかわったら砂漠でソーラーパネルになりたい」というもんじゅ君の言葉は、原発事故や原子力、核そのものを考えるにあたり心にズシリと重く残る。

 現代に生きる日本人の記憶に強く残ったであろう“3.11”という言葉。そのひとことの裏でさまざまな人々、ひいては社会全体が受けた影響は計り知れない。原発事故は日本だけではなく世界的な問題として議論され、誰ひとりとして解決へ向かわせる糸口を見つけられないままだ。原発への賛成や反対という二元論ではなく、本書をきっかけに“今目の前にある事実”としての原発問題をひとりでも多くの人がより深く考えられるようになればと願いたい。

文=カネコシュウヘイ