独りじゃ勝てない。チームの大切さが沁みる『ハイキュー!!』名言集

マンガ

公開日:2014/3/25

 スポーツ初心者の主人公、あるいは弱小高校チームが才能と努力の果てに強豪に打ち勝つ――それが、少年スポーツマンガのセオリーだろう。しかし現実には、特別弱くもないが強くもなくただ“ふつう”、そんな高校生たちが多いはずだ。この春、アニメ放送が決定した『ハイキュー!!』は、『週刊少年ジャンプ』が誇る新進気鋭のバレーボールマンガ。強くも弱くもなかった烏野バレー部が、数々の試練を経て一つのチームとして成長していく等身大の物語だ。勝利した側だけでなく、負けた側にもドラマがあることをこの物語は丹念に描きだす。『ダ・ヴィンチ』4月号では、さまざまな名言から『ハイキュー!!』に込められたメッセージを読みといている。

「―― 目の前に立ちはだかる高い 高い壁 その向こうはどんな眺めだろうか。どんな風に見えるのだろうか。“頂(いただき)の景色”おれ独りでは決して見ることのできない景色 でも 独りではないのなら、見えるかもしれない景色――」(1巻1話)

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  『ハイキュー!!』でたびたび繰り返されるのが、日向のバレーボールへの想いが語られるモノローグだ。“頂の景色”には、誰よりも高く跳ぶことの他に、全国優勝や一番という意味が込められているだろう。そこに辿りつくには自分一人では難しい。しかし、仲間がいれば夢ではないかもしれない。『ハイキュー!!』のテーマが凝縮された言葉だ。

「打ってみなきゃわかんねえだろうが!! 次は決まるかもしれないじゃねーか!! 俺が繋いだボールをアンタが勝手に諦めんなよ!!!」(3巻20話)

 伊達工業戦で自信を喪失してしまったエースの東峰。自分にトスを出すことを「意味無い」とこぼしてしまう。それを見て西谷が感情を露わにして激昂。守備の要であるリベロは、点を取るポジションではない。ひたすら“繋ぐ”ことが仕事だ。エースを信じるからこそ、西谷は粘り強くボールを繋ぎ続けられるのだ。

「エースが打ち抜いた1点もお前が躱(かわ)して決めた1点も同じ1点だ それでもお前は今の自分の役割がカッコ悪いと思うのか!!!」(3巻23話)

 ブロックを打ち抜くパワーと高さを持つエース東峰の活躍を見て、日向は練習試合の最中に羨んでしまう。それを見抜いた影山は「大黒柱のエースになんかなれねえ」としながら、「俺が居ればお前は最強だ!」と言い放つのだ。そして日向はスピードとバネを活かしてブロックを躱し、見事得点! 日向・影山コンビが新たな一歩を踏み出した。

「“3年生なのに可哀想”って思われても 試合に出られるチャンスが増えるならなんでもいい」(4巻26話)

 影山が入部したことで、正セッター菅原の立ち場は微妙なものに。3年は今年が最後。コーチの烏養が菅原を起用すべきではないかと迷っていたところ、菅原は自ら「影山を選ぶべき」と進言した。3年には後がない。だからこそ一つでも試合に勝ち、次へ進む切符が欲しいからだ。影山の代役であっても試合に出るチャンスはある。先輩の強い決断に胸が高鳴った。

 本誌では、他の名言も具体的なシーンと解説を臨場感あふれるコマの抜出とともに紹介。キャラクターの熱い想いと、チームワークの大切さが心に沁みる内容となっている。

構成・文=大寺明/ダ・ヴィンチ4月号「ハイキュー‼ 大特集