算数だけじゃない! 日本人が学ぶべきインド人の会話術とは

人間関係

更新日:2014/4/9

 春は出会いの季節。あらゆる場で「会話力」が必要となる季節だ。だが、「会話に自信がない」という人も少なくはないはず。そんなアナタは、国力急上昇中のインドの会話術を学んでみてはいかがだろうか! インド人の会話の上手さといったら、国際会議の場での議長の役割は、「インド人を黙らせることと、日本人をしゃべらせること」と言われるほど。世界の多くの企業では、交渉担当者としてインド人が活躍している上、世界中の億万長者の内の10%はインド人だという。インド流の会話術を学べば、アナタを新しい世界に導いてくれるに違いない!

 サチン・チョードリー氏著『会話はインド人に学べ!』(フォレスト出版)では、インド流の様々な会話テクニックが紹介されている。なぜインド人には会話力があるのだろうか。チョードリー氏によれば、インドが多民族国家であるのが一番の要因だという。インドでは、あらゆる文化的背景を持つ民族がひとつの国に住んでいるため、何をするにしてもすべてに交渉が必要とされる。日本のように「あうんの呼吸」で理解し合うことができない。そのため、インド人は上手に自己主張したり、交渉をしたりしながら生き抜いているのだ。

advertisement

インドには「ジュガール」という古くからある印僑の教えが根付いている。
・少ない力で多くの利益を得る
・自分の枠を超えた発想で考え、行動する
・やわらか頭で考えてピンチをチャンスに変える
・シンプルに考える
・決してあきらめない
・自分を抑えつけない
・セルフ・エフィカシー(自己効力感)を大事に育てる。
「ジュガール」の基本となるこの7つのことを重んじているため、インドの財閥は成功しているのだとチョードリー氏は語る。自信満々の態度で堂々と、そしてシンプルな言葉で相手の考えを聞いていけば、自然と自分の意見は通りやすくなるのだ。

 さらにチョードリー氏はインド人は日本人に比べて「投げる玉の数」が圧倒的に多いという。たとえば、インド人は初対面の人とあった時、共通の話題がなかったとしても、どんどん話題を投げかける。相手の好みを知ろうと、とにかく「インド料理は好きですか」「和食は好きですか?」というように当たるまで玉を投げ続ける。「私は食べ物には興味はないんですよ」と眉をしかめられたとしたら、日本人はそこで黙り込んでしまうことだろう。だが、インド人は怯むことはない。常に堂々とした口調で相手の関心を探ろうとする。今度は「旅行は?」「スポーツは?」というように違う方向から玉を投げて、当たる確率を上げようとしていくのだ。「言うのはタダ、言わなければ損をする」と考えてインド人は会話をし続けるのだという。そして、会話の流れを重視して多少の間違いは気にせずに立ち向かうのもインド流。間違えても、スマートにやり過ごすことができれば、相手を自分に注目させることができる。

 「自分の思い通りに話を進めたい」「相手を動かしたい」というときは、自分の話したいことを話すのではなく、相手の関心のあることを「聞く(引き出す)」ことがとても重要になってくる。たとえば、気になっている子をデートに誘う場合、「おいしいお寿司の店があるから、今度行かない?」という風に自分の食べ物の嗜好によって一方的なアプローチをしてはいけないのだ。本の中に取り上げられている例を引用してみると、こんな感じになる。

あなた「最近忙しそうだね」
彼女「うん、仕事がずいぶんたまっているんだ」
あなた「そっか。じゃあ、旅行もあんまり行けないんでしょう?」
彼女「旅行は諦めた」
あなた「もし行けたらどこに行きたい?」
彼女「韓国かな」
あなた「韓国料理とか焼き肉好きなの?」
彼女「韓国料理大好き!」
あなた「韓国料理の中でどんなものが好きなの?」
彼女「チゲ鍋かな」
あなた「美味しいよね。美味しいお店知っているんだけど、今度いかない? いつも頑張っているからごちそうするよ」
彼女「本当? 嬉しい!」

 このように相手の関心ごとを見つけ、それを深く掘り下げて共感を示そう。ポイントを絞って会話を続け、相手に断る理由をなくさせてしまえば良いのだ。このプロセスを踏めば、軽快に明るい雰囲気でデートら誘うことができるとチョードリー氏はいう。

 ひとつひとつの出会いを無駄にしないためには、インド流会話術にあやかってみるのも悪くはない。「会話力」を身につければ、アナタもビジネスだけでなく、恋愛においても成功を収めることができるに違いないのだ。

文=アサトーミナミ