歴史を学び、今に生かす。私たちの生き方にヒントをもたらす本ランキング

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

私たちの便利で快適な生活は、多くの先人の努力や知恵に支えられている。そんな先人たちの歴史を知ることが、私たちにとって深い気づきや学びとなる。そこで今回は、歴史・お城好きな参議院議員・松沢成文さんに、“歴史を学び、今に生かす。私たちの生き方にヒントをもたらす本”をランキングにして紹介してもらった。

■1位 『坂の上の雲(新装版)』(全8巻) 司馬遼太郎 文春文庫 638~650円(税別)
明治維新から日露戦争までの国内の様子を題材にした、司馬遼太郎作の長編小説。列強国や先進国を〝坂の上の雲〞に譬え、日本を一流国にすべく奮闘した人々の様子が描かれる。

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■2位 『雄気堂々』(上・下) 城山三郎 新潮文庫 上630、下670円(税別)
経済小説の開拓者・城山三郎による渋沢栄一の半生がつづられた伝記。一農夫だった渋沢が、幕末維新の中で何を思い、いかなる信条を抱いて経済界で身を立てたのかがわかる。

■3位 『菜の花の沖(新装版)』(全6巻) 司馬遼太郎 文春文庫 629~660円(税別)
淡路に生まれ、千島で商人となった海の男の数奇な運命を描く歴史小説。江戸後期の日本とロシアの間で翻弄される主人公の様子から、現代にも通じる外交の難しさが読み取れる。

■4位 『翔ぶが如く(新装版)』(全10巻) 司馬遼太郎 文春文庫 543~600円(税別)
西郷隆盛、大久保利通を主人公とする長編作。征韓論に端を発した両者の確執や西南戦争の結末が描かれ、ランキングの選者・松沢氏は「明治国家の枠組みがわかる」とコメント。

■5位 『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』 戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎 中公文庫 762円(税別)
ノモンハン事件やガダルカナル作戦などの失敗を徹底分析。その原因を追及すると同時に、現代におけるさまざまな組織に教訓を役立てようとする一冊。戦史の社会科学的分析本。

■6位 『ポーツマスの旗』 吉村 昭 新潮文庫 630円(税別)
ロシアとのポーツマス講和会議に臨み、交渉妥結に全精力を注いだ小村寿太郎を主人公とする歴史小説。ロシア側との緊迫の駆け引きや思わぬ結末など、手に汗握る展開の連続。

■7位 『戦艦武蔵』 吉村 昭 新潮文庫 520円(税別)
極秘裏に建造され、壮絶な終焉を迎えた日本帝国海軍の大戦艦・武蔵の全貌に迫る作品。「技術と戦略がかみ合わず関係者が苦戦する様は、企業にとっての教訓になる」と松沢氏。

■8位 『昭和史』(全2巻) 半藤一利 平凡社ライブラリー 各900円(税別)
“ある時期”“ある事件”を断片的に扱うのではなく、昭和史を全時代にわたって解説。時代の流れを追えるうえ、言葉もわかりやすく、松沢氏は「入門書としておすすめ」と語る。

■9位 『新訂 福翁自伝』 福沢諭吉/著 富田正文/校訂 岩波文庫 960円(税別)
福沢諭吉の自伝。教育者、啓蒙家として、日本のために力を尽くした福沢の生き様を感じ取れる。また、幕末から維新の時代を、福沢がいかに生き抜いてきたのかも興味深い。

■10位 『甦れ! 江戸城天守閣』 松沢成文 ヨシモトブックス/発行 ワニブックス/発売 1300円(税別)
歴史・伝統・文化の象徴であり、観光の目玉にもなる江戸城天守閣の復元を実現するための構想がまとめられた一冊。過去の技術や文化を、未来へと伝えるロマンを共有できる。

取材・文(ランキング部分)=澤井 一/ダ・ヴィンチ5月号 「その道のプロに聞く! ダ・ヴィンチなんでもランキング」