不倫、略奪婚…『花子とアン』の今後が気になる!?

テレビ

更新日:2014/5/28

 4月からスタートした、吉高由里子が主人公・花子を演じるNHK連続テレビ小説『花子とアン』。高視聴率を誇った『ごちそうさん』の後のせいか数字のほうも順調な滑り出しで、今週からは本格的に吉高が出演し、話題を呼んでいる。

 しかし、話題になっているのは吉高の演技だけではない。ネット上でひそかに注目を集めているのは、“今後、花子の恋愛模様がどのように描かれるのか”ということ。というのも、実際の花子は不倫の末に略奪婚を経験しているのだ。『花子とアン』の原案となっている『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』(村岡恵理/新潮社)から、その内容を紹介しよう。

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 まず、『花子とアン』というタイトルにもあるように、主人公の花子は『赤毛のアン』を日本で最初に翻訳した人物。山梨の貧しい家庭に生まれた花子が父親の後押しで東京の女学校に編入し、英語で書かれた本に夢中になる…というのが第3週までのドラマのストーリーだ。この第3週では帝大生・北澤(加藤慶祐)との出会いと初恋が描かれ、ここまでは朝ドラらしい展開といえる。

 だが、問題は花子が女学校を卒業し、英語教師を経て、キリスト教の出版社で編集者として働き始めるあたりに起こる。『アンのゆりかご』によると、当時、花子は26歳。“22歳を過ぎた独身の女性は、世間では「行き遅れ」呼ばわりされる”時代だが、花子は夢に向かって新しい職場で翻訳の仕事に勤しんでいた。そんなときに出会ったのが、印刷会社の経営者・村岡儆三だった。花子が翻訳を手がけた本の出版をきっかけに知り合い、恋に落ちた2人だが、儆三は病気を患った妻と別居中だったとはいえ、子ももつ立派な妻帯者。しかし、2人の恋の炎は燃えさかるばかりだったのか、出会いから2カ月あまりで「儆三の胸に抱かれて、初めて口づけを交わした」とある。──恋の進展に早い・遅いの基準などないものではあるが、現代から見ても“急接近”だったことはよくわかる。

 「病める妻と別れて花子といっしょになりたい」と切望する儆三に対し、「道ならぬ恋に落ちてしまった」ことを悩む花子。2人がやりとりした手紙は半年で実に70通におよぶのだが、その中身もまたすごい。たとえば、花子が儆三に送った手紙の一節はこうだ。

 「(きれいな百合の花をもらったが)あなたがお花を持ってお帰りになったら、周りの方々が妙にお思いになりはしないかと考えて、御遠慮して仕舞ひます。」

 まるでテレサ・テンの歌詞かと見紛うほどに“ザ・不倫”の心情がよくあらわれているが、儆三の手紙も負けてはいない。

 「底冷のする夜、火鉢でも欲しいと思ふ日、秋の夜は何となく寂しい。こんな時あなたと二人であったらと恋しく……Kissします。」

 中2か! とツッコミそうになるが、人を中2にしてしまうのが恋の恐ろしさ。こうして2人は愛を貫き、「初めて出会ってから満6ケ月と16日」でゴールインするのだ。いわゆる“略奪婚”である。

 『花子とアン』の脚本を担当している中園ミホは、この激烈なラブレターを読んで「朝ドラを書くなら、ぜひ花子をモデルにしよう」と決めたというが、果たして既婚女性の視聴者も多い朝のお茶の間は、この恋愛模様をどのように受け止めるのだろうか…?

 ちなみに、花子の親友となる仲間由紀恵演じる蓮子のモデルは、大正時代に“白蓮事件”で世間の話題を集めた柳原白蓮。「昼ドラの金字塔」と誉れ高い伝説のドラマ『真珠夫人』の原作者・菊池寛が物語のモデルにしたとも言われる人物で、その波瀾万丈ぶりは花子の比にもならないほど。史上初の“ドロドロ朝ドラ”となるのか否か、こちらの展開も大いに楽しみにしたい。