酢豚にパインは必要? altキーの存在意義は? なぜかピッタリこない…日常の“ぴったらず”とは?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

日常生活の中には、なんとなくぴったりこないことやしっくりこないことがたくさんある。酢豚にパイナップルが入っていたり、数字に人気不人気があったり…。そんな、ぴったりこないもどかしさを、パイナップルや数字といったキャラクター側から描いた『ぴったらず』(松原秀/ポニーキャニオン)が3月4日に発売された。ここから、酢豚のパイナップルや人気のない4や6といった数字はどんなことを思っているのか見てみよう。

まずはじめは、酢豚のパイナップルから。酢豚の中でため息をつき、もうここではやっていけないと落ち込むパイナップル。「だってみんな俺のこと嫌いでしょ? 必要ないと思ってるでしょ?」といじけるパイナップルに対して、「思ってないよ」「好きな人もいるから」となだめるにんじん。しかし、そんなにんじんの気も知らず「いらないでしょう、どう考えても」とバッサリ言い切る豚肉。そこまで言われたパイナップルは、ついににんじんに対しても「“俺は必要な野菜だ”みたいな顔してさぁ、いちばん役立たずのただの飾りのくせして」と言い出す。それに加えて「俺はブロメリンという消化酵素により豚肉を柔らかくしてる」と自分の存在意義を語り出すのだ。そんな2人に「酢豚は最悪、俺とタマネギだけでやっていける」と言う豚肉だが、それだと酢豚という感じはしないし…。やはりパイナップルも必要なのかと思うが、どうしてもなんとなくしっくりこないモヤモヤ感が残る。

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また、数字にもなんとなく人気のものと不人気のものがあるのではないか。ここでは、そんな数字ランキングについて、万年最下位争いの4と6が語っている。やはり、2人の意見を聞いても1番人気は「7」。4が「やっぱ7にはちょっと勝てる気しねーもんな」と言っているように、「ラッキー7」という言葉まである7は不動の1位のよう。1も「ナンバーワン」「オンリーワン」と言われるくらいだから当然人気があり、あえてのナンバー2も影があってかっこいいし、安定している。そうやって考えていくと、やはり不人気なのが4と6。6が、4は「み~~んなが忌み嫌う不吉な数字」と言うと、今度は4が「じゃあ、そんなんだったら、6だって悪魔の数字だかんね!」と言い合う。しかし、そんな言い争いをしている4と6のところにピッカピカに輝く7がやってきて、「………あい、おはよう~。4頑張って」と言い、去っていく。6じゃなく、4だけに声をかけたところを見ると、やっぱり1番人気がないのは4ということになるのか。

さらに、パソコンのキーボードたちにも納得のいかないことはあるよう。真夜中に、バチボコ叩かれまくるエンターキー。その一方で、ずーっと眠り続けていたオルトキー。そのオルトキーに対して、「かたやたった1個で四六時中バシバシ叩かれ続け! かたやダブルスタンバイで夢の国!」と不満をぶつける。その後も異様なほど叩かれ続けるエンターキーだが、マウスに「え……そんな叩かれて痛くないんすか?」と言われても「痛くない」。「何も感じない?」と聞かれて「感じない」と答えると「ああーー……なるほどね……お疲れした!」と言われてしまう。なんで使用頻度の低いオルトキーが2つもあって、1番ダメージをくらうエンターキーが1つしかないのか。キーボードじゃなくても、その理由が知りたくなる。

ほかにも、ジンクスとあるあるの違いやいろんなカードを入れられそうになるATMの叫びなどが収録されている。まだまだ日常に“ぴったらず”は溢れているが、これでみなさんのなかの“ぴったらず”が少しでもぴったりになればいい。

文=小里樹