ニコ動でも和楽器人気が沸騰中! 和楽器マンガが熱い!?

マンガ

更新日:2014/4/20

 最近、あるバンドが人気なのをご存知だろうか? それが、人気ボカロ曲『千本桜』を筝や津軽三味線、和太鼓、尺八といった和楽器と融合させたバンドでカバーした“和楽器バンド”だ。力強さと繊細さを兼ね備えた彼らの演奏が、「かっこよすぎる」とネットで話題になっているよう。4月23日にメジャーデビューすることが決まっており、27日に行われるニコニコ超パーティー3にも出演が決まっている。そんな和楽器バンドだが、どうやら和楽器の人気ぶりはマンガにも波及しているよう。そこで、3月10日に発売された『和太鼓ガールズ』(すたひろ/双葉社)や『この音とまれ!』(アミュー/集英社)、『ましろのおと』(羅川真里茂/講談社)といった和楽器マンガを紹介してみよう。

 まずは、お嬢様学校の生徒たちが和太鼓に挑戦していく『和太鼓ガールズ』から。子どもの頃にピアノを演奏したとき、シスターから「あなた随分つまらない音を出すのね」と言われ、音楽が大嫌いになった主人公の超優等生・環。でも、高校でシスター服を着て和太鼓を演奏するマリアに出会い、彼女の笑顔で和太鼓を叩く姿や和太鼓の「心臓が持ち上げられる」感じ、その振動に感動する。そして、実際に演奏してみるとただ闇雲に叩いてるだけなのに「音が楽しい!!」と思い、「私も和太鼓やってみたい」と思わず口にしてしまうのだ。言葉と記憶をなくしたシスター見習いのマリアにとって、太鼓は「自分の気持ちを伝える表現手段」だった。そんな彼女が太鼓を通して「友達になろう」と言っていることに気づき、和太鼓を通して2人で友達を増やしていく。それに、コーチが「和太鼓ってのは音楽であると同時にパフォーマンスなの」と言っているのだが、たしかに音だけでなくあのダイナミックな演奏姿も人々を惹きつける。

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 また、津軽三味線を扱った『ましろのおと』では、主人公の雪が自分の音を探しながら成長していく。祖父が亡くなったことで「ここにもう好きな音がねえ……」と青森の実家を出て上京した雪は、いろんな人や音と出会うなかで「握りてえっ!!」「三味線叩きてえっ」「こんな気持ち初めてだ 抑えきれねぇ」と思うようになるのだ。「地味であるが確実」で「ツボ(音階)に狂いはなく弾く姿にも狂いはない」タイプや「荒々しく独創的」な人など、津軽三味線は演奏に性格が出るそう。そして「気分で弾ぎ方が変わる」という雪の演奏は、みんなからワガママだとか反骨だと言われる。でも、相手の心に寄り添うように演奏できたとき、彼の才能はもっとも光るのだ。「一寸止まれ」といったような、和楽器独特のカウントが聞こえない間や、演奏することで兄の若菜と会話するシーンを見ると、実際に演奏する音を聞いてみたくなる。

 そして、『この音とまれ!』には、箏職人の孫である男子高校生・愛が登場する。不良で祖父にも迷惑をかけていた愛だが、亡くなった祖父の「大事にしてたものがどんなものなのかちゃんと知りたい」と思い、祖父の作った箏曲部に入部する。それまでは、本当の箏の音なんて知らなかったが、箏の家元のお嬢様であるさとわの演奏を聴き、胸を打たれるのだ。箏は“龍”に見立てて作られた楽器なのだが、“龍”には「天と地あの世とこの世結ばれない二つのものをつなぐ存在」という意味もあるそう。楽器屋のおばあさんから「音は言葉で上手く気持ちを伝えられない人のためのもう一つの言葉だよ」と言われ、はじめて箏曲部で演奏した「龍星群」には、「弾く人と聴く人の心もつないでくれますように」という願いを込め、全員が全力で「届け――っっ!!!」と思いながら演奏する。

 和楽器ときくと、なんだか難しくて退屈そうだと思っていた人もいるだろうが、こうやっていろんな和楽器マンガをみてみると、決して遠い世界の話ではないと思えるのではないか。なにか楽器を始めたいと思っている人がいたら、ギターやドラムではなく、和楽器を選択肢に加えてみるのもアリだろう。そうすれば、和楽器はもっと身近な存在になるし、和楽器バンドのようなバンドがもっと増えていくかもしれない。

文=小里樹