アイス、パン、ヨーグルトにも! デザート醤油ってどんな味? 醤油の奥深き世界

食・料理

公開日:2014/4/26

 日本人の食事において、欠かすことのできない調味料。それが、醤油だろう。そして、醤油と一口にいっても、今は誰もが知っている有名醤油からたまごかけご飯専用醤油、魚醤油、だし醤油、デザート醤油など、時代の流れによってさまざまな醤油が誕生している。そこで、『タモリ倶楽部』にも登場し、3月25日には商業誌としても発売されることになった『醤油手帖』(杉村 啓/河出書房新社)から、注目の醤油を紹介してみよう。

 醤油は、大きく分けて5つの種類に分類することができるそう。もっとも普及している「濃口醤油」、色の淡い「淡口醤油」、現代醤油の原点ともいえる「たまり醤油」、ほぼ倍の材料と時間をかけて造られる「さいしこみ醤油」、小麦を多く使った黒くない「白醤油」。このなかであまり聞き覚えがないのは「さいしこみ醤油」だと思う。醤油は、主に蒸した大豆と砕いた小麦から造られており、それに種麹を混ぜて発酵させると麹になり、さらにこれに塩水を加えるともろみになる。それを熟成させ、熟成が終わったもろみを絞ると醤油ができあがる。その後、発酵をすすめてくれた菌を殺すため、火入れ作業を行うのだが、火入れしていない状態のものを生醤油というんだとか。そして、さいしこみ醤油の特徴は、もろみを造るときに塩水だけではなく生醤油を使うというところ。そのおかげで、かなり濃厚な味になるそう。香川県の「鶴醤」も、濃厚なコクと香りを持ちながら、非常に使い勝手もよく、ステーキとも相性がいい。

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 また、今では当たり前になった○○専用醤油だが、なかでも人気なのがたまごかけご飯専用醤油。いまや100種類を越えるほどの商品が、各地で造られているよう。そんなたまごかけご飯専用醤油のなかでも、1番最初に誕生したのが、2001年に発売された熊本県橋本醤油の「元祖玉子ごはん専用醤油」だ。社長がPTA役員時代、朝ご飯を食べない子どもが多かったため、子どもでも作れる美味しくて簡単なたまごかけご飯に注目。たまごかけご飯をより美味しくするための醤油を造ろうということになったそう。その後、橋本醤油はたまごかけご飯専用醤油が誕生した経緯などを発表し、他の蔵にも呼びかけたことで、多くのたまごかけご飯専用醤油が生まれた。「開発には六年もの歳月がかかっている」というこの醤油は、低塩分かつやや甘めで、昆布エキスを入れることで旨味が深まり、まろやかな仕上がりになっている。

 さらに、アイスやパン、ヨーグルトなどにかけて食べるスイーツ醤油というものもある。バニラアイスに醤油をかけるとみたらしのような味になるのだが、ちょっと味の想像がつかないのは、ナカマル醤油の「ヨーグルトかけ醤油(ぶどう果汁入り)」。そもそも、ナカマル醤油から登場した「パンかけ醤油(りんご果汁入り)」がテレビでも紹介されるほど大ヒットし、その「パンかけ醤油をヨーグルトにかけるとおいしい」という声を受けて誕生したのがこのヨーグルトかけ醤油なのだ。ぶどう果汁だけでなく、りんご果汁も入っているので、爽やかな甘さと酸味があり、とろみと合わさって醤油というよりジャムのような感覚で使える商品なんだとか。ヨーグルト以外にも、パンにつけたり、アイスや団子にかけても相性抜群だそう。ジャムやメープルシロップに飽きたら、使ってみたい一品だ。

 和食だけでなく、洋食や中華、スイーツとも相性抜群のバラエティ豊かな醤油たち。みなさんも、醤油にこだわってみるだけで、新たなおいしさに出会えるかもしれない。

文=小里樹