牛乳も、糖質制限ダイエットもカラダに悪い!? 疑わしき日本人の健康常識

健康・美容

更新日:2014/4/28

 テレビで何かが体にいいと放送された翌日、店頭からその商品が消えることは珍しくない。現代人は本当に“健康”に敏感だ。だが、身体にいいと信じているあなたの情報は本当に正しいものなのだろうか。そんな現代人の健康常識を覆す書籍『日本人だけが信じる間違いだらけの健康常識』(生田哲/KADOKAWA)が4月10日に発売された。

 まず、昨今ブームとなっている「糖質制限ダイエット」。人間の体は基本、糖質、たんぱく質、脂肪の三大要素によって成り立っている。それを糖質抜きの二大栄養素でカロリーは気にせずどんどん食べて痩せようというのが「糖質制限ダイエット」だ。実はこれ、新種のダイエットかと思いきや1972年にアメリカで発表された「アトキンスダイエット」が40年遅れで日本にやってきたもの。短期間で体重を落とすことができるのはデータからも実証されている。

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 だが、ある時期をピークにその効果は激減。しかも栄養素をエネルギーに変えたり、再構成したりするのに不可欠な酵素の働きを助ける「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」を著しく不足させたり、頭痛や筋力の低下、気分の落ち込みなどを招くのだそう。このように身体にさまざまな問題が生じるため、研究者の間では非常に評判の悪い偏食ダイエットなのだ。

 そして、さらに耳を疑うような“間違った常識”が取り上げられている。一般的に学校給食で毎日出される「牛乳」が健康に良くないというもの。牛乳を飲めば背が伸びる、イライラの解消にもなる、寒いときに飲むホットミルクは格別で体もぽかぽかなんて思っていたことが全部ウソなのだろうか?

 そもそも、牛乳は栄養不足で苦しんでいた戦後日本の子供たちの食生活を救うべく、学校給食で出されるようになった。当時は牛乳ではなく脱脂粉乳だったが、このときから日本人の子供たちの身長が伸び始めた背景があり、牛乳の健康神話が誕生。牛乳は栄養価が高いという結論に至ってしまったことが間違いの原因らしい。

 本来「乳」は、出産後に乳児が体重の約3倍になるまで育てるためのもの。成長した牛でさえ飲まないものを人間が飲めば健康を損ねるのは当然という。牛と人間を比べても…と半信半疑のまま読み進めてみたが、次の論証で腑に落ちてしまった。

 牛乳を飲んでお腹が痛くなったことはないだろうか? 東洋人や黒人は、牛乳を大量に飲むとお腹がゴロゴロする「乳糖不耐症」の人がほとんど。人間は、牛乳に含まれる「乳糖」を分解することで牛乳から栄養を得る。が、東洋人や黒人は白人に比べ、一度に分解できる「乳糖」の量が少ないため乳糖不耐症が多いのだという。本書によるとその量は白人が50グラム対して、東洋人や黒人は20グラム。牛乳100ミリリットル当たり5グラムの「乳糖」が含まれるので、計算上400ミリリットルを超える牛乳を飲むと、「乳糖」の分解能力を超えることになる。そうなると、乳糖が大腸で腸内細菌によって分解され、二酸化炭素(オナラ)を発生。大腸に残ってしまった乳糖が水分を引き寄せ下痢になるのだ。

 このように常識だと思っていたことが実はウソだったという実例が、「ビタミンC」「高血圧降圧薬」「コレステロール値低下薬」「抗うつ剤」についても書かれている。いつまでも健康体でいたいと願う人には、取り返しがつかなくなる前にぜひ本書を手にとってもらいたい。

文=中川寛子

日本人だけが信じる間違いだらけの健康常識 (角川oneテーマ21)