板チョコの凸凹は“割りやすくするため”ではなかった!? 食べ物の形に隠されたヒミツ

食・料理

更新日:2014/4/30

『不思議なかたち~食べもの編~』(真下弘孝/大空出版)

 私たちが普段何気なく食べている物には、「なんでこんな形なんだろう?」と疑問に思うものも多々ある。しかし普通は、そう疑問に思いながらも何となく食べ、そんな疑問を抱いたことさえ忘れてしまう。今からご紹介する『不思議なかたち~食べ物編~』(真下弘孝/大空出版)という本は、そんな見過ごしがちな食べ物の疑問を解決してくれる。そこで今回、本書の中から特に気になった食品の謎を5つほどご紹介しようと思う。

■クリームパンはなぜグローブ型?
クリームパン
クリームパンといえばあの切りこみの入ったグローブ型のものを思い出す。なぜあの形になったのか? 本書によれば、詰め物をしたところにイースト菌の力で空洞ができてしまうため、それをなくすために切りこみを入れたのだそうだ。しかしなぜグローブ型なのかについては、意図的なのか偶然なのか定かではないのだとか。クリームパンを発案した中村屋でさえ、真意は定かではないそうだ。

■なると巻きの渦の意味
なると巻き
ラーメンに入っている、なぜか渦巻き状のなると。なぜ普通のかまぼこではなく、なると巻きなのだろうか。たしかに気になる。わくわくしながらなると巻きのページを開くと、まさかの宇宙規模の見出しが飛び込んできた。「なると巻きを食べて、生命、宇宙の神秘を知る!?」。な、なんと…。なると巻き一筋60年の「カクヤマ」によると、「渦が無限、渾沌、成長、生命のシンボルと思われているため」とのことだそうだ。なんだか、なると巻きがかっこよく見えてきた。

advertisement

■板チョコ、凸凹の役割
板チョコ
板チョコの表面にある凹凸を、“割りやすいように作られた溝”だと思っている人は多いだろう。筆者もそう思っていた。しかし、実は違うのだそう。本書のなかで、とあるメーカーは「表面積を広くするために凹凸をつけています。そうするとチョコが短時間で固まりますから。また、強度をアップするためでもあります」と回答している。そんな企業サイドの事情があったとは知らなかった。その発想はなかった…!

■鮎焼きに込められた思い
鮎焼き
なぜかどこに行っても見かける「鮎焼き」。どら焼きのような生地の中に求肥が入っている、鮎型の和菓子だ。これの形については、筆者も非常に疑問に思っていた。何となく可愛いからか? くらいにしか思い浮かばなかったが、実は高度成長期の環境汚染が関係しているのだとか。多摩川のそばの和菓子店「志むら」の店主によると、「高度成長期の川の汚染で、多摩川から消えてしまった鮎を偲んで作りました」とのこと。今は川も綺麗になって鮎が泳いでいるそうだが、そんな鮎への思いが届いたのだろうか。

■6Pチーズ、6Pの理由
6Pチーズ
6つで1つの円になっている、お馴染みの雪印の6Pチーズ。これは円型に作ったチーズを食べやすいようにカットしているだけでは?なんて思ったが、甘かった。そこにはもっと深い理由があった。これは、ナチュラルチーズの熟成の仕方に大きく関係しているのだそうだ。円形が多いナチュラルチーズは、種類によって外側から中心へ、もしくはその逆に熟成が進む。そのため、放射状に切るのが基本なのだ。6Pチーズ自体はプロセスチーズなので熟成せず、この切り方にする必要はないそうだが、それを模しているのだとか。

 これら以外にも、まだまだ気になる食べ物の秘密が解説されている。第1章は「丸」、第2章は「三角」など、形別に分かれているのも面白い。文庫サイズなので、鞄に入れておけば暇つぶしにもってこいだ。この季節、新しい仲間と出会い、話す機会も多い。話題に困った時のために、ぜひこの本を読んで会話のネタを溜めておこう。

文=月乃雫