四十路の父、中学生の娘の気をひこうとしたら「キモい」と言われ、「甘やかさないで叱るときはビシッと叱って」と叱られる

出産・子育て

2014/5/5

 お父さん、キモい――。

 年頃の女子ならば、誰しも抱くこの感情。思えば私も中学生の頃、こんな言葉をぶつけたものだ。それまではなついていたのに、なんとなく生理的に受け付けなくなってしまう。娘は父親と同じ空気を吸いたくなければ逃げればいいけれど、父親の方は、急に扱いにくくなった娘にどう対処すればいいのかわからず悩んでいる人も多いだろう。

 『お父さんがキモい理由を説明するね―父と娘がガチでトークしました』(泰文堂)の著者、中山順司さんもそのひとり。都内のIT企業で働く四十路の普通のお父さんだ。小学生のときは学校の出来事をひっきりなしにしゃべってくれていた娘さんが、中学に入ると手のひらを返したように素っ気ない態度に。悩んだ挙句、中山さんが娘さんに提案したのが“マジトーク”。毎週土曜の朝、朝食を外でとりながら娘と父がサシで話し合うのだ。

 会話が成立しない状態だった2人がいったい何を話したのか。中山さんはせっかくなので、日常で話すことのない恋愛観や人生観など大きなテーマを選んだ。でも、世の中の多くのお父さんが一番聞きたいのは、なぜ娘は父親のことを「キモい」と言うのか、だろう。

父「何でもかんでも“キモい”とか、“カワイイ”って形容詞で単純化するのは、女子学生の悪い癖だぞ。キモいって言葉を、もうちょっと別の表現で説明しなさい」
娘「何て言うのかな、本当に“オェェ……”って感じで気持ち悪い。ゾワゾワする」
父「毎日ちゃんとお風呂入っているし、歯も磨いて清潔にしているぞ」
娘「清潔かどうかってことじゃなくて、行動とかしゃべり方とか……存在そのものが気持ち悪いの」
父「……(言葉が出ない)」

 中山さんは当初、「キモい」なんて何も考えずに使っているだけだろうから、大した説明もできないはずとタカを括っていたという。「返り討ちにしてくれる!」と切りだした質問だったが、中山さんの自信はこの通り木っ端みじんに…。

 では、具体的に何が気持ち悪いというのか。中山さんの娘さんいわく、父親が娘をかわいがりすぎ。変なアダ名を娘につけてすり寄ってくるのがキモいそう。また、お風呂の後に素っ裸で歩くこと。ブヨブヨのお腹が気持ち悪いという。それから、くしゃみをするときにわざとらしく「ヘックショホホォォオォォォイイィィィィィ、ホイホイホイィィィ」というのが、気を惹こうとしているのが丸見えでバカみたいと話す。思い当たる節がある人もいるだろうか?

父「キモくないお父さんを目指して努力したいんで、“こうすればキモくない”ってリクエストを聞かせてよ」
娘「じゃあね、ベタベタじゃなくて、もっとあたしに厳しく接してくれる?」
父「厳しく? リクエストとして変じゃない?」
娘「もっと、自然に振る舞ってほしいの。娘が好きって感情を抑えて、いいものはいい、ダメなものはダメって言ってほしい。親は子どもに対して、叱るべきときはビシッと叱るべき。(中略)娘に好かれたいあまりに、必要以上に甘くしたり、モノで釣るようなお父さんにはならないでよ」

 ここまできちんと説明されると思わなかった中山さんは、ショックが大きすぎてこのとき食べていたお寿司が喉を通らなかったという。

 中山さんのように胸襟を開いて娘と話し合いができればまだいいけれど、そんな機会を得るのはなかなか難しいかもしれない。中山さんと娘さんのマジトークをヒントに、まずは自分の行動を見直してみるのもひとつの手。

 しかし、娘もずっと中高生のままというわけではない。話し合いの後、中山さんは知り合いの成人女性に意見を求めたところ、「成人した今なら、中山さんのような愛情表現を感謝できる心境になれる」とありがたい言葉を頂戴したそうだ。私も同感。親を離れて暮らす今となっては、たまに会えるのが嬉しいくらいだ。うろたえてジタバタせず、どっしり構えて娘の成長を見守るのが一番かもしれない。

文=佐藤来未(Office Ti+)