「安済知佳」声優インタビュー&撮り下ろしグラビア【声優図鑑】

アニメ

更新日:2015/7/8

これからの活躍が期待される声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのミニグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第11回となる今回は、現在放送中の『棺姫のチャイカ』のヒロイン、チャイカ・トラバント役や、『悪魔のリドル』で首藤 涼役を演じる安済知佳さんです。
 

――ハイテンションな撮影でしたね。

安済:大丈夫でしたか? 役としての撮影はキャラクターがあるからいいんですけど、安済知佳としての撮影は苦手で! ブログなどに載っている写真も、どんな顔したらいいかわからないし、めっちゃ恥ずかしくて大変だったんです…。

――いえいえ、素敵でした! ではまず、声優を目指したきっかけを教えてください。

安済:小学校3年生くらいのときに入った福井市少年少女合唱団のミュージカルで、お芝居の楽しさを知って。当時、福井って全然TVアニメが映らなくて、カートゥーンネットワークばかり見てたんですけど、中でも『バッグス・バニー』が大好きで。『ONE PIECE』とか『犬夜叉』も同時期に見ていたから、それぞれ役を演じ分けている山口勝平さんを通して声優という職業を知ったんです。すごく子供っぽいんですけど、そのころは、マンガに色を塗ったらアニメになるって思ってたんですよ(笑)。声だけの表現で、しかも見た目にとらわれない役が演じられるなんて楽しいそう! って、ぼんやり思ってました。

――その流れで、エイベックスアーティストアカデミーに入所を?

安済:福井では声優の知識を得る場所がなくて。パソコンで調べたら私の歳でも特待生オーディションが受けられるって書いてあったので、声優タレントコースに応募しました。私、田舎者だったから何を送ればいいのかわからなくて、ほかの子のようにスタジオではなく、「写ルンです」で、しかも家の仏壇の前で撮ったスナップ写真を送ったんですよ! 仏壇の壁紙を新しく替えたばかりだからって(笑)。しかも書類は、規定のスリーサイズと、「安済知佳、よろしくお願いします!」 ってそれだけで、住所も書かずに。もし声優を目指してる方がいたら、こんな私でも声優になれました。みなさんも頑張って…!

――高校生時代のひとり暮らし、どうでしたか?

安済:こんなに寂しいんだって、毎晩親に電話してました。でも、ぜんっぜん苦労は感じませんでしたね。15歳で上京させてくれた親に感謝しつつ、初めて教わるお芝居の勉強に夢中でした。

――役者としては、ほかの人にはない貴重な経験だったのでは?

安済:半々です! 逆に、ふつうの高校生時代を過ごしていないので…。毎日が社会勉強って感じで、いい経験でしたけど。ハートが強くなった気がしますし、おかげで今でもひとり旅が好きですし(笑)。あっ、あの生活があったから逆にマイペースぶりに磨きがかかってきたのかなぁ(笑)。


――その後、『あにゃまる探偵 キルミンずぅ』で御子神ナギサ役を演じられましたね。

安済:今まで練習したこともないし、将来演じるとも思っていなかった“お姉さん”役だったんですよ。私自身、兄弟は兄だけなので、お姉ちゃんってなんだ? って(笑)。しかも、犬に変身するんです。昔、通学路ですっごい吠える犬がいて、真っ黒で麻呂眉でおっきくて、苦手だったんです! むしろ猫が大好きで、オーディションでも猫のこと、ひたすら語ってアピールしてたんです。だから、犬の遠吠えやってみてって言われても、わおーんじゃなくて、にゃおーんってなっちゃう(笑)。

――いざ、本番では…?

安済:いろんな種類の犬の鳴き声を演じるために、犬の図鑑を買って、練習してから挑みました! 私たちは唇があるけど、犬の口って開閉だけじゃないですか。だから唇はあんまり動かしちゃいけないなあとか、大きい犬の鳴き声はどれくらい胸に響くんだろうとか。で、図鑑ってちょっと怖いから、「犬のきもち」みたいなかわいい本を買ったり(笑)、友達のうちにいる犬と触れ合ったりしているうちに好きになりました。

――現在放送中の『棺姫のチャイカ』ですが、「チャイカかわいい」と評判です!

安済:本当ですか!? チャイカ、かわいいですよねぇ! オーディションのときは、なんで棺をかついでいるんだろうとか謎だらけで(笑)。片言のしゃべり方も、感情を途切れさせずに演じるいい挑戦になるなって思ってたんですけど、最初はボロボロでした。スタッフさんから「違うよ、チャイカはそんなんじゃないよ」って言われて(笑)。かわいいタイプの女の子は初めてだったし、苦手意識もあったから、“かわいい”と“片言”を意識しすぎて。「チャイカをかわいくしたいわけじゃなくて、まだ小さいのに使命を果たすために猛進する姿が、端から見るとかわいかったりするのだから、無理にかわいくしなくてもいいよ」って言われて納得しました。

――そんなところに「かわいい」の秘訣が。

安済:はい。片言も、チャイカは語学留学に来ているわけじゃないから、自分が片言であることは気にしてないんだって。感情を伝えてくれればそれでいいと言われました。チャイカは片言のわりに難しい言葉をいっぱい使うんですよ。それは、感情と一致した言葉を“ぽん”と出しているだけで、どういう言葉を使おうとか、まったく気にしてないんだと言っていただき、気持ちが楽になりました。

――知佳さんとチャイカ…これって偶然ですか?

安済:これ、運命だなあって思ってます! しかも私のサイン、5年前から同じなんですけど、大きくAって書いて、下にCHIKAって書くんです。CHの後にAを入れたらチャイカになるんですよ! もう、嬉しい! って勝手に盛り上がって。これからも、チャイカとして使命を貫きたいと思います。
 

――同じく放送中の『悪魔のリドル』ですが、首藤 涼(しゅとう すず)はどんな女の子だと感じながら演じていますか?

安済:すごくミステリアスですね。人を拒絶しているわけではないんですが、どこか一線ひいた、不思議な距離感を保っている女の子です。腹の内が読めないから、いい人かもしれないし、本当はめちゃくちゃ悪い人かもしれないし…。しかも、黒組は13人いるから、おばあちゃんっぽいしゃべり方だけじゃなくて、お芝居の部分で個性を出さなきゃなぁっていうのがあって。

――黒組で、ほかに気になるキャラは?

安済:涼を演じるうえでは、やっぱり同じ部屋の香子(こうこ)ちゃん。でも、第一印象は鳰(にお)だったんですよね。私、仲のいい人には「そうなんすかー」とか「どうしたんすかー」って話すので、あ、一緒だ! って(笑)。鳰もまた、腹の内が読めない、深読みしてもわからないような子なので、そこに惹かれていました。

――女性声優が揃う黒組のアフレコはどんな雰囲気ですか?

安済:セリフのない人も見学してたり、和気あいあいとしています! じつは、収録前に「極秘」って書かれたキャラクターの裏設定をそれぞれもらったんですよ。お互いを知らずにアフレコに臨んで、物語と同じように、みんなで腹の探り合いをしてくださいと。みんな言えないことがあるから、キャッキャしながらも、暗殺集団ならではの緊迫感のあるピリッとした切り替えもあって、スタッフさんすごいなって思いました。

――涼の裏設定、気になります!

安済:衝撃の事実でした…! その設定のおかげで、どう演じていいのか余計にわからなくなった部分も、謎の多い涼に対して腑に落ちた部分もあって…。私がそれをうまく演じられていたら、みんなもヒャーッとなってくれると思います!
 

――ちなみに、お休みはどんな風に過ごしていますか?

安済:マンガ、ゲーム…あとは、カフェに行って台本を読んだりとか。家にいると寝ちゃうんですよ、だから台本を読むときは外に行きます。あとは家の中で過ごします! 休みの日は徹底的に自分の世界に入っちゃいますねー(笑)。

――ゲームはどんなものを?

安済:最近は『牧場物語』ですけど、あとは『戦国BASARA』とか『魔界戦記ディスガイア』とか、『レイトン教授』とか『ポケモン』とかですね。いろんなゲームをやるのではなく、狭く深く、これって決めたらずっとプレイします。それこそ寝食を忘れちゃうくらい…。だから正直、お休みが1日だと足りない! 本当は2日間くらい一気にプレイして、ずーっとその世界に浸っていたいんです。ちょこちょこプレイするのは『牧場物語』くらいです。

――「ずっとその世界に浸りたい」気持ちは、キャラクターを演じるときもあったりしますか?

安済:キャラクターは、その世界に入ってなりきるっていうより、自分が、三次元ではいちばんキャラクターに近い存在なのかなって思って演じています。あとは、“心を動かす”ことをいちばん大切にしています。自分の心が動かないと、見る人たちの心も動かないだろうなって。オンエアを見て、あ、私、アニメの中にいる! って思いますね。

――これから、どんな声優になりたいと思いますか?

安済:私、演じるときに気をつけていることがあって、キャラクターから自分が透けて見えないようにしたいんです。安済知佳自身が、作品の邪魔にならないといいなあって。例えば、竹内順子さんの演技って、キャラクターしか見えてこないから、すごいなあって思います。私も将来、そうできるようになりたいな。あとは、思いっきりひねくれた悪役にも挑戦してみたいです!

――では、この記事を読んでくれた人にメッセージを!

安済:とにかくお芝居が大好きなので、いろんな場所で、いろんな役に携わって、みなさんに作品を楽しんでもらえるように頑張っていきますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

――ありがとうございました!
 

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

安済知佳

・安済知佳オフィシャルブログ「ちかごろのあんざい」
http://ameblo.jp/chika-anzai/

(取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、キャスティング協力=吉村尚紀)