非リア充がまたまたイラッ! あの『1DK』に続いて今度はうぶな夫婦のイチャラブマンガが!
公開日:2014/5/21
世の中には、その響きだけで人を非常に不愉快にさせる言葉がある。最近だと、やはり「イチャラブ」。よくぞまあ、こんな言葉が存在するものだ。爆発してしまえばいいのに、この世界ごと。と、なにやら思わずそんな物騒なことを考えてしまうくらい、イラッとしてしまう。
そんな、非リア充にとってはまさに劇薬としかいいようのない「イチャラブ」が、これでもかというくらいつまった作品が先日出版された。それが『うぶうぶふうふ』である。
作者はかの『1DK』(双葉社)で非リア充を絶望と羨望と嫉妬の渦に叩き込んだ、かがみふみを 。うぶでラブラブなカップルのいちゃつきぶりを描かせたら右にでる者はいないといわれた作家だが、その腕前は今回の『うぶうぶふうふ』でも如何なく発揮されている。
主要登場人物は基本的に3人。在宅マンガ家へーちゃんと、その妻ちかちゃん。そして子どもの、ゆうくん。物語は、出産にあたって実家に帰省していたちかちゃんが、ゆうくんを連れてへーちゃんのもとへ帰ってくるところからはじまる。はじめての子育てに戸惑いながらも、ゆうくんのかわいさに助けられつつなんとかこなしていく2人。
しかし、この作品はもちろん単純な子育てマンガでは終わらない。へーちゃんとちかちゃんには、大きな悩みがあった。それは、“男女”としての恋愛的なやり取りが減り、「なかよく」なれる機会、まあぶっちゃけセックスのことなのだが、それがまったくないこと。夫婦仲はとっても良好なだけに、なおさら「なかよく」したい思いが強まる2人。いったいどうしたら、またかつてのようにいちゃいちゃできるのか…。
もしこういった悩みをTwitterやFacebookなどで見かけたら「勝手にやってろ」と、即画面を閉じること確定の話である。なにが悲しくてそんな話に「いいね!」をつけなければならないのかと、マクラを涙で濡らしながら身悶えしつつ一晩中考えてしまうだろう。
しかし、この作品、そんなことはおかまいなしに、めくるめく「イチャラブ」世界に突入していく。
たとえば、ゆうくんのおむつを替える際に、そのナニがかわいく、思わずみとれてしまったちかちゃん。寝る際にそれを思い返し、へーちゃんのナニもかわいかったと記憶をたどりながら頭に思い浮かべる。そうするうちに、へーちゃんのナニが見たくていてもたってもいられなくなり、仕事場に突撃する。戸惑うへーちゃんに対し顔を真っ赤にしながらとかちゃんはこう切り出す。
「なんか…すごくへーちゃんのおちんちん見たくなっちゃったの」
…なにこれ? 新手の拷問かなにかだろうか。とても見ていられない。「勝手にしやがれ!」という感情の強さを計る機械があるなら、とっくに針が振り切れて、人体に悪影響を及ぼすレベルである。
また、こんな展開もある。ゆうくんが突然、ちかちゃんに対して“ちゅー”をかますところを目撃したへーちゃん。3人で川の字になって寝ている際に、我慢できなくなったのか、ちかちゃんの布団に向かい、「さっきのゆうくんの真似…したくなって」「ちゅう…したい」と告げる。一方のちかちゃんはその要望に激しくNOを突きつけるのかと思いきや「あたしも…こないだからちゅうしたいなあって思ってたの…だから うれしい」と顔を真っ赤にして答えるのだ。
もちろん、へーちゃんの顔も真っ赤だ。こっちの顔は怒りで真っ赤だ。そして2人は激しく“ちゅー”をしあい…おっと良い子にはここまで。続きは自分の目で確かめてほしい。
うぶな関係に戻った2人のイチャラブがひたすら描かれるこの作品。「あー今日はちょっとストレスためたい気分!」な人やもう半端な絶望じゃ満足できない超ド級のMな人に、晴れやかな笑顔でおすすめしたい1冊だ。
しかし、逆に、年齢=恋人いない歴の方やお金を払わずにナニをしたことのない素人童貞の方は読むのにくれぐれも注意していただきたい。気がつけば世の何もかもを憎み、壁に頭をぶつけ、へーちゃん・ちかちゃんよろしく鮮血で顔を真っ赤にしてしまう危険性が非常に高い作品である。
文=オンダヒロ