慶応の“ビリギャル”だけじゃない! ロリータ女子が東大に合格した理由

暮らし

公開日:2014/5/25

 偏差値を30の金髪ギャルが慶応大学に合格した『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴/KADOKAWA アスキー・メディアワークス)が話題になっているが、『妄想娘、東大をめざす』(大石蘭/幻冬舎)では偏差値48のロリータ女子が東大に合格した過程が描かれている。著者の大石蘭さんは東京大学教養学部を卒業し、現在は東京大学大学院修士課程在学中。ロリータファッションをこよなく愛し、ライター、イラストレーターとしても活躍している。経歴だけを見るとは華々しいが、中学・高校時代はどこにでもいる普通の女の子だった。そんな彼女はなぜ、東大を目指し合格できたのか? 本人がコミックエッセイで綴った本書から理由を探ってみたい。

■何もない自分からの脱却
 偏差値48で入学できる中高一貫女子校に通っていた大石さん。中学時代、若い頃から信念を持っていたアーティストたちと比べ何も持っていない自分に焦りを感じる。勉強なら今から頑張っても遅くないという思いから東大を目指すことに。
 大石さんは高校に進学し国立大志望クラスに入る。しかし、進学校ではないため東大を受験する人は周囲にはおらずなかなか相談できない。そんな大石さんが最初の一歩を踏み出せたのは大学説明会で、予備校の人に話を聞いた時。東大に行きたいと話すと、どの先生がオススメか、いつから通い始めるのが良いかなど相談にのってもらうことができた。

advertisement

■ロリータファッションで予備校へ
 予備校に通い始めるが進学校の制服が並ぶ中で、自分の制服は浮いているのではと悩み、一番自分らしくいられるロリータファッションで通学することに。勉強に本腰を入れるため大好きな雑誌を封印、通っていたヘアサロンともしばしお別れをする。
 予備校生活のはじめに蘭さんが実行したのは講師ひとりひとりに突撃すること。受験する科目を担当する講師に東大に行くために何をすれば良いのか声を掛けてまわった。成績があまり良くなかったり、通っている高校のことを言われて落ち込んだり、となかなかうまくいかないが、講師から言われた課題をひとつずつクリアしていく。
 一方、学校では、休み時間もずっと勉強に時間を割いていたり、教師との軋轢などもあり、疎外感を覚えるようになる。

■東大まであと一歩!
 疎外感を抱きながらも、家族や予備校で出会った人々に支えられて少しずつ前に進んでいく、大石さん。講師からの課題だけではなく、「数学100時間作戦」と称し、1時間勉強するごとにマス目をひとつずつ塗りつぶしていくなど、独自の勉強法もプラスしていく。講師からのアドバイスをもとに、自分が一番頑張れる方法を探り勉強をしていくことで成績も上がっていく。

 本書では受験期間中の心の葛藤が描かれている。大石さんは何度もくじけそうになるが、家族の支えや持ち前の心の強さで乗り切っていく。受験に勝つためには、どんな勉強法よりも強いメンタルを支える周りの助けが一番大事。受験生本人だけではなく、受験生を支える家族や周囲の人にもぜひ読んで頂きたい1冊だ。

文=舟崎泉美