コミュ障だった修造が“日本一アツい男”になったトークの秘訣とは?

スポーツ

更新日:2014/5/28

 日本の温暖化の原因とも噂されるアツい男・松岡修造。誰もが彼のパワフルなトーク術とキャラクターに魅了されてやまない。彼ほどに自分の感じたことを巧みに表現できるキャスターは他にいないだろう。だが、実は、彼はかつては人前で話すのが大の苦手で、会議やプレゼンでは極度に緊張。思いがうまく伝えられないことに悩んでばかりいたという。そんなコミュ障の男が、日本一アツい男として自分の思いを伝えられるようになったのはなぜなのだろうか。彼のトーク術には一体どんな秘密が隠されているのか。

 松岡修造著『伝わる! 修造トーク 一瞬で心をつかむ「話し方」60のルール』(飛鳥新社)では彼が身につけたトークの秘訣を紹介している。彼の「トーク」の基本は「5W1H、プラス100万F」。「Who(誰が)」「What(何を)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」したかをはっきりさせるということはもちろんだが、これに「Feel(自分がどう感じたのか)」をプラスするのが、修造流だ。うまくしゃべりができなくてもとにかく「自分が感じたこと」を率直に話そうという気持ちを全面に出していけば、言いたいことの意味は伝わると松岡はいう。たとえば、彼は、取材先では「現場で何が起きているか」を正確に伝えることも大切だが、それ以上に「現場にいる僕が何を感じるか」にポイントを置いているのだそうだ。現場でしか感じ取れない空気を伝えるために、VTR振りで使う言葉は「VTRをご覧ください」ではなく、「選手の思いを一緒に感じて下さい」。どこかで聞いてきた言葉では聞き手の心には届かない。自分の思いをいかに言葉に乗せるかを日々特訓し考え続けているのだという。

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 松岡にしてみれば、日常はトークのためのトレーニングの場で溢れている。たとえば、彼は普段の食事でも、「一人くいしん坊万歳」を欠かさないらしい。その時のポイントは何となく食べないこと。そして、食べた感想をその場で言うことだ。吉野家に行く時は「とりあえず牛丼でいいか」ではなく、「今日は吉野家の牛丼を食べるぞ!」と気合いを充満させて店に入る。「赤身と脂身がほどよく混じり合ったこの肉!」「タマネギ本来の甘みと触感がたまりません!」「今日のタマネギの煮方はやや足りないぞ」「丼の出し方がいつもより威勢がいいぞ。これこそ僕らが吉野家だ!」等と吉野家をひとりで食べながら、心の中で感想をつぶやいては、新たな発見を楽しんでいる。「普通の気持ちでこの店に来てないぞ」と本気で料理に向かうことは、感性を磨くトレーニングに繋がる。「前に食べたときと別の感じがした。それはなぜだろう」と考えることは、物事を比較する力を身につけるのに役立つのだ。ただし、その感想が、「やばい」「イケてる」「ハンパない」のような感覚的なものでは人の心には伝わらない。誰にでも理解できる言葉で表現するのは、意外に難しいが、意識して練習を続けるうちに、自分の思いが言葉で伝えられるようになっていくという。

 松岡修造のオフィシャルサイトに「みんなを本気で元気にする! 応援メッセージ 諦めちゃダメだ!」というコーナーがあるのをご存知だろうか。彼が取材先で思いついたメッセージを録画した20秒ほどの映像なのだが、どれをみてもそのアツさには心打たれ、時には思わず、笑ってしまう。

「いちばんになるって言っただろ? 富士山のように日本一になるって言っただろ? お前、昔を思い出せよ! 今日からお前は富士山だっっっ!」彼はトークに悩む人に自分自身でこの「応援メッセージ」を作ってみてはどうかとアドバイスを送る。何を素材にするか。その素材から何を感じ取り、どう伝えるか。自分を表現する練習としてこれ以上のことはないのだそうだ。

 松岡修造は小さい頃から、テニスの才能がないと言われ続けても、自分なりに努力を重ねて来た。それと同じように、「トーク」についても自分なりに工夫を重ねて少しずつ進歩してきたのだという。コミュ障と言われて悩む人もどうもプレゼンが上手くできない人も、彼に習って、感じたことを率直に伝えられるアツいトーク術を手に入れよう! この本を読めば、誰もが松岡修造になれる!

文=アサトーミナミ