寿司本ブームが到来!? 癒しをくれる寿司カルチャーがアツい!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

お寿司といえば、代表的な日本食のひとつ。近年、デフレで外食産業も景気が落ち込んでいるが、寿司業界は業績が伸び続けており、平成24~25年の寿司業界の業界規模(主要対象企業9社の売上高計)は3,301億円にもなるそうだ。1皿100円の回転ずし「スシロー」や「くら寿司」、「かっぱ寿司」など、大衆向けのチェーン店が浸透したことで、お寿司が身近なものになったというのも大きいだろう。本屋でも、職人向けの専門書ではなく、『おうちで作れる かわいいおすし ちょっと特別な日のちいさなおもてなし』(松尾みゆき/河出書房新社)や『お料理上手と思われる持ちより&さし入れレシピ』(馬場香織/メディアファクトリー)など一般向けの軽いおもてなしレシピへの登場率も高い。

2013年12月には、「和食」がユネスコ無形文化遺産にも登録され、世界も認める文化であることが証明された。自然を尊重する伝統的な社会習慣として受け継がれていることが評価されたのだ。そんな日本食の中でも寿司は特に人気が高い。今年2014年4月にアメリカのオバマ大統領も、来日した際に寿司屋でのおもてなしを受けて大満足していた。また、魚にはDHAやたんぱく質、カリウムなどが多く含まれており、栄養価も高い。そういった面からも、寿司は世界的から注目を得ている食べ物のひとつだ。

そんな大人気のお寿司が、本の世界でもブームの兆しを見せている。冒頭で述べたレシピ本の他、雑誌の特集記事や図鑑、マンガや小説まで、そのジャンルは多岐に渡る。今年3月に発売した雑誌『Hanako FOR MEN』(マガジンハウス)では丸々1冊寿司特集が組まれ、オススメのお店やマナー、コラムからネタ紹介まで、様々な角度から寿司の魅力が語られている。寿司を楽しむための図鑑『すし図鑑』(ぼうずコンニャク 藤原昌高/マイナビ)や『すし手帳』(坂本一男/東京書籍)なども好評で重版を重ねており、寿司好きの間で長く人気だ。

コミックとしては、『江戸前の旬』(九十九 森:著、さとう 輝:イラスト/日本文芸社)や『将太の寿司』(寺沢大介/講談社)などがロングセラーで一定の人気を得続けている。近年では、『寿司ガール』(安田弘之/新潮社)や『回転寿司擬人化 スシは世界のまわりもの』(jack/リブレ出版)などの擬人化マンガや、『おしゅしだよ』(やばいちゃん/KADOKAWA エンターブレイン)など寿司をキャラ化するマンガも出てきた。また、5月28日にリリースされたiPhone・Android向けの女性向け擬人化恋愛・乙女ゲームアプリ『へい! 恋愛一丁』も、「擬人化キタコレ」、「まさかの寿司(笑)」と話題になっている。その他、『小僧の寿し』(勝田文/集英社)や『ラズウェル細木のラ寿司開店!!』(ラズウェル細木/日本文芸社)など、本当にバリエーション豊かな本が出されており、寿司ひとつでこんなにも様々なストーリーが出てくるのか、と驚かされる。

小説としては、2014年1月に刊行された『その手をにぎりたい』(柚木麻子/本小学館)が記憶に新しい。バブル期の不動産会社で働く、寿司という大人の世界に魅了された女性を描いた作品。主人公と寿司職人が、寿司を介して心を通わせ寿司にはまっていく。しかし決してそれ以上の関係にはなれない。その微妙な関係が、読んでいてはがゆくもあり、楽しくもある。切なく孤独であたたかい物語だ。

そんな中で共通しているのは、寿司が“人を癒すもの”として描かれていること。シンプルながら、新鮮な魚と酢飯のコラボレーションは、それだけ人々に愛されているのだ。寿司好きの人の多くは、寿司屋に何かしらの思い出があるのではないだろうか? 職人さんは、“職人”と呼ばれるだけあって、寿司を握って提供することに誇りとプライドを持っており、客が老若男女問わず寿司を楽しめるよう、個々に対して工夫してくれる場合も多い。そういったお客を楽しませる工夫は、回転寿司でも受け継がれているように思う。寿司屋はそれだけ客と職人の心の距離が近い、あたたかく心癒される場所なのだ。

一見ちょっと敷居が高そうに見えるお寿司だが、実際はそれだけの価値がある素晴らしいもの。あまり寿司屋には行かない、食べないという人には、ぜひこの寿司ブームをきっかけに、寿司の魅力を感じて癒されてほしい。『寿司ガール』のように、気が付いたらあなたの目の前にも可愛いお寿司がいるかもしれない。

文=月乃雫