ASKA発言で安中市が困惑中!? 「ノゾキ」「フケ」「フザカシ」…変わった地名の秘密

社会

2014/6/6

 覚せい剤取締法違反で逮捕されたASKAが、警察の取り調べに対して当初、「覚醒剤ではなく、アンナカだと思っていた」と答えたと報じられたことで、群馬県にある安中市が困惑しているという。アンナカとは安息香酸ナトリウムカフェインという薬品のことだが、安中市=アンナカ市と響きが同じなため、事件の悪いイメージがついてしまうのではということらしい。

 こんなふうにその変わった地名のせいで誤解を受けそうな土地はほかにもある。そこで、『思わず人に話したくなる日本全国・地名の秘密』(北嶋廣敏/宝島社)から、全国各地のあっと驚く珍名・奇名や、絶対に読めない難読地名の数々を由来と合わせて紹介してみよう。

 山形県には「及位」という地名があるのだが、みなさんはなんと読むかわかるだろうか? 実はこれ、「ノゾキ」と読むのだ。しかも、かつてここでは「のぞき」をするのが立派な修行だったという。その修行の内容とは、甑山(こしきやま)の山中に入り、足に木の蔓を巻いてその端を木の根元に結びつけ、崖に宙づりになって下を見るというもの。この結果、修験者は悟りを開き、京の都にのぼって帝から立派な位を授けられていたのだ。この地で修験者が「のぞきの修行をして、高い位に及んだ」ことから、及位と書いてのぞきと呼ばれるようになったよう。

 また、「浮気」の文字を見るとついついあの“うわき”を思い浮かべてしまうかもしれないが、滋賀県の浮気町は決して浮気者が多いからついた名前ではない。それに、この町は「ウワキチョウ」ではなく「フケチョウ」と読むのだ。フケは深田(泥深い田)、低湿地帯の田んぼを意味するもので、当て字として浮気が使われているよう。ほかにも、布気、婦気、福家、深、更と書いてフケと読む地名は全国に見られる。

 そして、栃木県には「東汗」「西汗」という地名があるのだが、この「汗」の読み方は「あせ」でも「かん」でもない。漢和辞典にもほとんどのっていないが、「汗」と書いて「フザカシ」と読むのだ。東汗地区にある満願寺という寺の薬師堂には、お祈りをすると如来が汗をかくという汗かき薬師と呼ばれる薬師如来がいた。それに、かつて鬼怒川を航行する廻米船には藩札が必要とされ、船着場を札貸しと呼んでいたのだが、それがなまってフザカシになり、薬師如来も「フザカシの汗薬師」と呼ばれるようになったそう。そこから、その地区名自体がフザカシとなり、汗と書いてフザカシと読ませるようになったようだ。

 そんな地名のなかでも、日本最古の地名と言われているのが奈良県の「忍坂(忍阪・おっさか)」。この地名は、和歌山県橋本市の隅田八幡神社に伝わる国宝「人物画像鏡」に刻まれた48文字の金文に「意柴沙加(おしさか)」として登場しているのだ。「人物画像鏡」には「癸未年八月」という製造年月表示があり、癸未は西暦503年を指しているとの説があるという。これが正しければ、「忍坂」は『古事記』や『日本書紀』が書かれたよりも前にあった地名で、日本の地名の中で記録に残された最古のものということになるのだ。ちなみに、『古事記』や『日本書紀』にも「於佐箇」「意佐加」としてのっているそう。「忍」には大きいことを意味するという説があるので、大きい坂から「忍坂」の地名が生まれたようだ。

 ほかにも、鹿児島県の頴娃(えい)町や千葉県の行行林(おどろばやし)、兵庫県の安口(はだかす)など、読みも意味もわからない地名はたくさんある。でも、地名は無形の文化財とも言われるし、ひとつひとつ読み解いていくとその背景にいろんな歴史や物語が詰まっていることがわかる。あなたの住む土地についてもどんな由来があるのか調べてみると、新たな発見があっておもしろいのではないだろうか。