中島哲也『告白』以来4年ぶり新作は理性や論理を超えた“バイオレンス”

映画

2014/6/15

『告白』『嫌われ松子の一生』などのヒットメーカー、中島哲也監督の新作『渇き。』が公開される。新鮮で驚きあるエンタテインメントを生み続ける中島監督だが、今回は特に凄まじい。原作は、深町秋生のデビュー作『果てしなき渇き』。深町は、人間の執念や鬱屈に焦点を当てたノワールミステリーの書き手である。今作は失踪した娘を追うなかで狂気と暴力に満ちていく元刑事の父親を主人公にしたストーリーで、深町作品の中でも特に、殺人、暴行、拷問、ドラッグ……とバイオレンスの塊。デビュー作ゆえの作家が放つエネルギーが暴発したような内容だ。「この劇薬、映像化できる?」というのが原作を知る人の感想だろう。

 だが監督の、原作の本質を見定め、映像表現に仕立てる巧みさはさすが。「監督の視線は、登場人物たちが放つものすごいエネルギーに向けられている。そのほとばしる熱量に見る人は惹きつけられるのではないか」とは、監督と18年タッグを組む鈴木ゆたかプロデューサー。その言葉通り、暴走していくロクデナシの父親(役所広司)をはじめ、天使と悪魔の間をふわふわと行き来するその娘・加奈子(小松菜奈)、薬物中毒の加奈子の友人(二階堂ふみ)など、出る人出る人、狂っていて理解不能(血まみれだし人は死にまくるし……)。理性や論理じゃ太刀打ちできない衝撃を体感してほしい。

文=平山ゆりの(日経エンタテインメント!)/ダ・ヴィンチ7月号「出版ニュースクリップ」