Instagramフォロワー80万人! 海外でも絶賛される柴犬「まる」初の写真集の魅力

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/21

柴犬まる』(小野慎二郎/KADOKAWAメディアファクトリー)

ぷりっとしたお尻と愛らしい表情がたまらない柴犬「まる」。「まる」に魅了されたファンは北米を中心に海外にも広がり、Instagramのフォロワーは今や80万人を超えるほど。そんな「まる」初の写真集『柴犬まる』(小野慎二郎/KADOKAWAメディアファクトリー)が6月13日に発売された。

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著者の小野さんが、「まる」と出会ったのは、近所のショッピングモールのペットショップ。共働きのうえに犬を飼ったことのない小野夫婦は、飼うのを諦め、毎週「まる」の様子を見に行くのが習慣になった。しかしながら、まわりの仔犬より2倍もある「まる」は、いつになってもせまいショーケースに残ったまま。気になった小野夫妻は、来週まで残っていたら引き取ろうと、決める。偶然にもその日は、「クリスマスイブ」。クリスマスセールと言う名目で「約半額」で売られていた「まる」を小野夫妻は、迷うことなく連れて帰り、それから「まる」との生活がはじまった。

郵便ポストと「まる」

小野さんが、Instagramに「まる」の写真を投稿するきっかけとなったのは、3.11だった。政府や電力会社への不満や、心無い人たちによる不安を煽るデマで埋め尽くされたSNSに、あえて「まる」を投稿した。不謹慎とも捉えられかねない状況だったが、少しでも不安を和らげるのではないかと思い、それから毎日3枚の写真を投稿し続けている。

スーツケースに収まる「まる」

そんな小野さんに写真集『柴犬まる』が発売となった今の心境をうかがった。

Q.毎日自分が撮影されることに、「まる」はどういう様子ですか?
A.「また撮影してるな…」って顔で見られている気がします(笑)でも一応ポーズはとってくれます。

Q.毎日3枚投稿し続けるモチベーションになったものは、何だったですか?
A.当初はSNS=ライフログ のような考え方がありました。ブログのように、記事をきちんと書く義務感のようなものがなく、気軽に成長の様子を記録出来るツールとして利用するつもりでした。また、共働きの我々夫婦がまるの様子を伝え合う”伝言板”のような使い方をしていました。

Q.写真を撮っているとき、各地にまると旅したときのエピソードを教えてください。
A.まるをつれて2週間程九州一周旅行をしたんですが、(Instagramを見ていた方々が)我々のコースを予想して、空港で待っていてくれたり、撮影ポイントまでかけつけてくれたりとかなり驚きました。なかには、まるをみて「まるちゃんですよね?」と言って泣き出しちゃう女の子もいました。

夜桜と「まる」

Q.旅をしながら「まる」を撮影していて思ったことはなんですか?
A.日本らしい景色はネットで探せばいくらでも出てきます。せっかくなら、まるの目線から伝えられる情報を世界に発信したいと考えました。犬が社会に溶け込んでいるヨーロッパを訪問したときに、「犬が安心できる場所=人間も心地よい場所」という考えが私の中で定義づけられました。「まる」が安心して遊べる場所は海外の方が来ても充分に楽しめる場所だと思っています。

Q.撮影するときに一番「写したい」「見てほしい」のは、何ですか?
A.「まるの幸せそうな表情」を皆に見せたいです。犬の嗅覚は人間の感情の変化を敏感に嗅ぎ分け、それが表情に出るのです。まるの笑顔が連鎖してやがて、我々に舞い戻ってくる。こんな体験は今まで何度もしてきました。これからも笑顔をお届けしたいです。

写真集は、桜、神社、お祭りなど、東北から九州までの四季折々の日本の景色を「まる」と一緒に旅するような感覚で眺めることができる。

きっと読み終わった頃には、「まる」のような柔らかな笑顔になっていることだろう。