昨日までの上司が部下に… 若手社員は年上部下とどう向き合うべきか?

ビジネス

公開日:2014/6/22

 昨年、改正高年齢者雇用安定法の施行が話題となった。国民年金の受給年齢引き上げを背景として継続雇用制度の対象範囲が拡大されるなど、各企業の労働環境に変化をもたらすきっかけともなった。そして、施行から1年以上が経過した現在、シニア世代が職場で働き続ける中で、とりわけ20代~40代の会社員にあるのが「年上部下といっしょに仕事をどうやって進めるべきか」という悩みだ。

 そこで、『60歳新入社員の伸ばし方、活かし方~年上部下のOJTはこう進めよう~』(労働調査会)の著者であり、企業研修講師などとしても活躍されている株式会社自分楽の代表取締役・崎山みゆきさんに、年上部下の社会的背景や関わり方などを伺った。

――崎山さんは研修講師として様々な企業へ足を運ばれていますが、本書の執筆にあたり、実際に「年上部下」についての悩みを現場で聞かれていたんですか?

 まず、営業におけるコミュニケーションの研修をする中で、20代~30代くらいの方たちから「年上の方たちと話題がないので話しにくい」「沈黙が続いて困る」という声を聞くようになりました。彼らにアドバイスをし続けていたところで、昨年の法改正があり今度は「上司が部下になってやりにくい」という相談が出てきたんです。理由としては「今までこうやってきた」と雇用延長された方に言われたり、依頼した仕事が期限までに終わらないといった悩みがありましたね。

――雇用延長と一口にいっても、様々なパターンがあるようですね?

 まったく異なる会社へ転職される方、定年を区切りとして新たに再雇用の契約を結ばれる方、そのまま雇用延長される方と大きく分類できます。なかでも主に問題となっているのは、再雇用もしくは雇用延長で、同じ職場で働き続けるパターンなんですね。特に、管理職から一般社員に降格、もしくは一般社員のままという方たちといっしょに仕事をする上での悩みが多いです。

――実際、職場ではどういった関わり合いを築くべきでしょうか?

 世代間の特徴を理解しつつ、互いの視点に立って相手と向き合うことです。例えば、視力が低下し始めた老眼予備軍の方には、書類の文字サイズを大きくしてみる。もちろん、シニア世代も若手世代へ「ありがとう」と伝えるゆとりを持つことです。また、60代にもなると知識が豊富なため、プライドが高い人も少なからずみられるので、「知らないから教えてやる」という態度は禁物です。例えば、「ご存知かもしれませんが」とひとこと付け加えればシニア世代も不快になりません。世代の異なる方とのミスコミュニケーションが引き起こす、ストレス削減になります。シニア層が不得手とする身体労働を若手に任せ、そのぶん頭脳労働を増やせば、全体としての生産性も上がります。若手社員が「気を使う」というわけではなく、老化も研究対象となる「ジェロントロジー(加齢学)」をふまえた視点が必要だと研修でも話しています。

 総務省によると、我が国の将来的な高齢者率はますます伸びるという。そのため、若手社員とシニア世代がいっしょに働く職場もますます増えていくだろうが、現状を受け入れつつ、たがいがあつれきなく業務を進められる環境づくりが必要なのだろう。気を使うというのではなく、人材としてのシニア世代と上手く仕事を進めていければ、業務の効率アップなどにも繋がるはずだ。

取材・文=カネコシュウヘイ