恋愛がうまくいかない原因はすべて母親!? ベストセラー『すべてはモテるためである』著者のAV監督・二村ヒトシインタビュー

恋愛・結婚

公開日:2014/6/24

 「なぜモテないかというと、それは、あなたがキモチワルいからでしょう」(『すべてはモテるためである』より)という衝撃的な一文で世間を賑わせたAV監督・二村ヒトシ。男性から多くの支持を受ける二村氏だが、その最新作は女性に向けて書かれた『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(イースト・プレス)。

 タイトル通り「愛してくれない人ばかり好きになってしまう」以外にも、「つまらない男にばかり好かれてしまう」「私って都合のいい女?」など、女性のあらゆる恋愛の悩みには共通する原因があると二村氏は同書で分析。“自己受容”と“心の穴”という2つの言葉がキーワードとしてあげられている。二村氏に詳しく話を聞いてきた。

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 「人はだれでも心に穴が空いています。ありのままの自分を受け入れる、つまり“自己受容”ができていないまま、他人に心の穴を埋めてもらいたくて恋をする。だからつらくなるんですよ」と二村氏。「寂しいから彼氏がほしい」という話をよく聞くが、それは“寂しい”という心の穴を異性に埋めてもらおうとしているということ。しかし自己受容ができていないと、寂しさは募るばかり…。

 かく言う筆者自身も、「自己受容ができていない」と本書を読んで思った。典型的な“こじらせ女子”(と自分では認めたくないが、認めたくない辺りがおそらく“こじらせ女子”)で、好きな人ができても興味ないアピールをしたり、男性に「奢るよ」と言われても絶対に割り勘にしたりする可愛げのない女だ。これじゃあ、恋愛なんてできっこない…。

「そんなことはないですよ。こじらせ女子というのは、“自分がうまく自己受容できていない”ということをちゃんと認識できている、感受性が強い人だと思います。むしろリア充に見える人たちの中にこそ、無理やり“インチキな自己肯定”をしている女性がたくさんいます」

 …って、ホント?

「ただし文化系こじらせ女子が気をつけなければならないのは、文化系オタクの皮をかぶったヤリチンや、支配欲のある男性の存在。まあ僕自身のことなんですが(笑)。こじらせ女子にも“恋愛回避型”と“恋愛依存型”がいますけど、依存型こじらせ女子は、僕たちオタク上がりのヤリチンに支配されやすいタイプ。これまでにそんな経験はありませんか?」

 ないです……。そもそも“オタク系ヤリチン”なんて存在するんでしょうか?

「いっぱいいるんですよ。体育会系ヤリチンも、オタク系ヤリチンも根本は同じ。世にいうヤリチンがたくさんの女性とセックスすることで心の穴を埋めようとしているのと同じで、オタクは物やアイドルで心の穴を埋めようとしているだけです。そういうオタクが何かの拍子にモテ出すと、コロっとヤリチンに変わるんです」

 ヤリチンにもオタクにも私にも、だれにでも心の穴が空いている――なぜ心に穴が空いてしまうのだろうか?

「心に穴を空けるのは、親なんです。分かりやすいのは“毒親”というやつですが、平凡な親であっても理想的な家庭であっても、親という存在は必ず子どもの心に何らかの穴を空けます。たとえば仲の良い両親に育てられたことで“自分には、あんな理想的なパートナーを見つけるのはムリだ……”と劣等感を持ってしまう人もいる。そうして空いてしまった心の穴が、恋愛において人を苦しめるんですよ」

 …言われてみれば、思い当たる節がなくもない。

「とくに女性の場合、お母さんからの無意識の抑圧が、恋愛観に陰を落としていることが多い。一度ぜんぶ“わたしの恋愛が上手くいかないのは、お母さんのせい”と考えてみてください。それはお母さんを憎むためではなく、自分の心の穴の形を知るためです。そうすれば心の穴と折り合いがついて、自己受容につながります。きっといい恋愛ができるようになりますよ」

 そうか! 私もいい恋愛ができるのか! そこで「二村さん、ちょっと私の話を聞いてください。実は……」と相談したところ、「あなたは恋愛しなくてもいいかも知れない」と言われた……。

 「いやいや、ガッカリしないで!」と勧められた二村さんの対談集『淑女のはらわた 二村ヒトシ恋愛対談集』(洋泉社)。犬山紙子さんやジェーン・スーさん、たんぽぽの川村エミコさん、はあちゅうさんら7人の女性有名人の波乱万丈な恋愛事情を読んで、「自分だけではない。みんな悩み苦しんでいるんだ」と救われる気持ちになった。

取材・文=尾崎ムギ子